ここ数年、日本では神社やお寺に参拝者に発行する「御朱印」がブームになっているようですね。
僕は、日本滞在時に日本各地を旅行してきました。
その時には、なるべく各地の一宮の神社にお参りすることを1つの趣味としてきました。
また、東京から九州に転勤になった時には、鹿島神宮(茨城県)に参拝しに行き、九州での安全祈願をお祈りしてきました。
(防人に出征する人々は鹿島神宮に参拝してから、出発したという歴史があります)
また、帰国時には下総の国の一宮である香取神宮にお参りにも行きます。
そして、社会人時代に仕事で悩んでいた僕は自分を追い込もうと思い立ち、夏休みの10日間を使って四国お遍路に行きました。
御朱印とは、神社とお寺の両方で書いて頂く事が出来ます。
その後朱印をネットで転売(物にっては、高額での転売)をする人が後を立たず、問題になっていると言います。。。
そこで、御朱印の歴史や神社、寺での御朱印の違いなどを書きたいと思います。
【目次】
1.御朱印の起源と歴史
2.御朱印は寺院と神社で、どう違うのか?
3.今なぜ御朱印ブームなの?
4.御朱印転売は、罰当たり
5.まとめ
1.御朱印の起源と歴史
【御朱印の起源】
御朱印の起源は、13世紀前半から行われた六十六部廻国聖の「納経請取状(のうきょううけとりじょう)」です。
この納経請取状を、修行僧が神社仏閣から発給してもらっていました。
その後、江戸時代になると納経帳に記帳押印を押してもらうようになります。
この納経帳への記帳押印が、現在の御朱印の起源です。
※これは、歴史的な経過や変遷が資料として残っていることから明らかです。
※六十六部廻国聖とは、定められた作法で書写した法華経(如法経)66部をもって日本全国66ヶ国の一ノ宮や国分寺など各国を代表する神社仏閣に納めていく廻国の修行者の事です。
【御朱印の歴史】
六十六部廻国巡礼が盛んになるのは室町時代からです。
この頃から、納経した(納経札を含む)神社仏閣で「納経請取状」を発給してもらうようになります。
そして、江戸時代になると次第に納経帳に記帳押印してもらうという形式になっていきます。
この時代には、本来の「1ヶ国1社寺」に囚われず、多数の神社仏閣を巡拝するようになっていきます。
その中には、1ヶ国66ヶ所を66ヶ国巡拝するという例まであったようです!!
その巡礼の道中に「四国八十八ヶ所」や「西国三十三所」をも組み込まれていきました。
そこから四国遍路や西国巡礼の間にも納経帳が広がっていったようです。
2.御朱印は寺院と神社で、どう違うのか?
僕は、神社での御朱印も貰いますし、四国八十八ヶ所お遍路をした際には各お寺で御朱印をもらいました。
一口に「御朱印」と言っても、違いがあります。
【寺院の御朱印】
こちらは、以前香取神宮(下総の国の一宮)で頂いた御朱印です。
中央には神社名の印が押され、その上に重ねて神社名が墨書きされることが多いです。
この他に社紋や神紋が押される場合があります。
神紋は神社で祭られている神様ごとの御紋です。
一社で複数の神を祀る神社では神紋も多くあるので、主祭神の御紋を代表して使用し、これを社紋と呼びます。
【神社の御朱印】
こちらは、四国八十八ヶ所の一番寺「霊山寺」で押してもらえる御朱印です。
中央には、薬師如来や観世音菩薩などの本尊や本尊が祭られているお堂の名前が墨書きされていて、左下にはお寺名前が書かれています。
右上から左下にかけて3つの押印が並ぶのが基本的なスタイルです。
3.今なぜ御朱印ブームなのか?
2016年には、大ヒットした大河ドラマ「真田丸」がありました。
その大ヒットと共に、「真田相伝六神社御朱印めぐり」というものがありました。
真田家ゆかりの神社へ参拝し御朱印を頂く。というものです。
「パワースポット巡り」という名の神社仏閣巡りが流行り、社寺仏閣を訪れる女子達を『ご朱印ガール』と呼んでブームになっている。
「霊的な存在とつながることで安らぎを感じるのは自然なこと。不況や競争などストレスの多い現実を離れ、癒やしを求める気持ちに合っているのではないか」(慶応大学の樫尾直樹准教授(宗教学)の分析)
御朱印は墨色と朱色のコントラストが非常に美しく、また、個性あふれる筆づかいや押し印のデザイン性などからアートとしての側面を持っていて、それに惹かれている。
と、御朱印ブームには、様々な理由が挙げられています。
神社仏閣に行き、お祈りする行為は、古来より日本人が行ってきた行為なので、いい事だと思います。
ただ、その御朱印を転売目的で入手するのは如何な事かと思いますね。
4.御朱印転売は、罰当たり
日本最大のオークションサイトであるヤフーオークションには、2017年2月8日の時点で1351件の「御朱印」が出品されています。
今現在一番高いものは、「四国八十八ヶ所を巡った法被に御朱印を押してもらったもの」
これは、確実に転売目的で押してもらったものだと思われます。
僕は、四国八十八ヶ所を歩いて巡った人間です。
あのお遍路の旅で色んな人に会い、それぞれが色々な想いで歩き遍路をしているので、こういったものを出品する人の行為は、呆れて物が言えません。。。
また、期間限定の御朱印や、静岡県富士宮市にある富士山本宮浅間大社の御朱印なども出品されています。
※富士山本宮浅間大社の御朱印は、『富士山に登らないと入手する事が出来ない+7月から9月の期間限定でしか入手する事が出来ない』ために35000円の値段が付いたそうです。
中には、「縁結び」の御朱印なども、それなりの高額で出品されています。
縁結びの御朱印を他人から買って、何の意味があるのでしょうか?(笑)
インターネットオークションを使った転売は、ここ数年で認知度が広がってきた個人で出来る転売・物販ビジネスです。
僕も、MBA留学前に勉強に使っていたGMATの教科書などをヤフオクを利用して、販売していました。
転売とは、本来は「自分にとっては既に不要なものだけど、他の人にとっては必要なもの」を販売するものであると思います。
しかし、近年は人気アイドルのコンサートチケットなどの希少価値のあるものを何倍もの値段をつけて販売する人が増えています。
また、数年前にはスタバの福袋を一人が買い占めて、数時間後にネット上で倍の値段で転売するという事件も起こりました。
これらに関しては、酷いなと思う気持ちはありますが、批判するつもりはありません。
しかし、御朱印とは本来「自分の足で赴き、参拝して、記帳押印して頂くもの」です。
そして、御朱印と自分の関係は「神様に御参拝した証であり、神様と自分の関係を示すもの」でもあります。
それを転売目的で記帳押印してもらうとは、なんと罰当たりな事でしょうか。。。
そして、売る人間がいるという事は、それを買う人(ヤフオクでは落札する人)も存在するという事です。
ビジネスには、「需要と共有のバランス」は必要ですが、御朱印においては罰当たりとしか思えません。。。
現在、神社本庁は「ネット転売の対応を神社に要請していない」という事ですが、既に純粋に御朱印を集めてらっしゃる方にも影響が出ているみたいで、残念な限りです。。。、
5.まとめ
父親も純粋に神社巡りが好きなので、時間があれば神社にお参りに行き、御朱印帳に御朱印を押してもらうようなのですが、ここ最近は記帳をお願いすると、最初から「お断りします」と言われるそうです。。。
このように、ごく一部の人間の行為の影響で、全体が悪く観られてしまうという悪影響が出ています。
御朱印に対しての考え方は、時代と共に移り変わっていきます。
室町時代や江戸時代は、純粋に「お参り」という気持ちで神社を回り、「神様と自分」の繋がりの1つとして貴重押印をしてもらった御朱印を手元に置いておくことがメインであったと思います。
今は「御朱印ガール」という番組がNHKで取り上げられるくらいですから、そういう時代なのだと思います。
それでも、スタンプラリー感覚で集めるのはどうかな?という気持ちはありますけどね(笑)
初詣やお宮参り、受験の祈祷などの特別な時に参拝するのではなく、御朱印を通じて若い世代の女性が神社に興味を持つきっかけになることは、決して悪い事ではないと思います。
ただ、うちの父親のように、「ブームに乗って集めている」と思われ、最初から断られてしまうケースがあるのは、残念です。
『この人は純粋にお参りをして、御朱印を集めている人』
『ブームにのって、御朱印をスタンプラリー感覚で集めている人』
『転売目的で集めている人』
そんな区別は、神社も出来ませんよね。
ただ、最後の『転売目的で集めている人』、そして『それを買う人』には、いつか天罰が下るんじゃないかと思うのは僕だけでしょうか。