「会社を辞めてのMBA留学体験記⑤」
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経営大学院での一番最初に履修したクラスが基礎経済学(foundation Economics)の授業でした。
日本の大学では、人文学部 欧米文化学科というクラスに居たので、経済学の授業は受けたことありませんでした。
しかし、日本の社会人時代で学んだ今までの様々な経験を活かして、授業に貢献してきました。
僕が通っていたビジネススクールでは、各国の留学生が多い事が、僕にとっては凄く貴重な経験でした。
紙面などでは知ることが出来ても、各国の経済状態というのは、中々知る機会がありません。
そういう面でも、このクラスを履修したことは良い経験でした。
基礎経済学(foundation Economics)のクラスのメンバー(国別)は以下の通りでした。
・韓国
・タイ
・台湾
・コロンビア
・サウジアラビア
・インドネシア
・インド
・アメリカ
・日本
こういったメンバーが居たからこそ、実体験として学べた経験は大きいものでした!
経済学と聞くと
・とっつきにくそう
・難しそう
等々のマイナスのイメージがある人が居るかも知れません。
僕もそうでした。(なので、日本の大学は経済学部には行きませんでした)
でも、経済学って凄く役に立つんです!!
この記事を読んで、僕がビジネススクールで学んだ「MBA留学で、経済学を学ぶ本当の意味」も理解いただけたらと思います。
【目次】
1.経済学の使用した教科書
2.基礎経済学(foundation Economics)の授業とは?
3.MBAケーススタディ(アジア通貨危機)
4.まとめ
1.経済学の授業で使用した教科書
(使用した教科書は、凄く面白かったです)
日本の大学で使う基礎経済学の教科書を読んだ事がないので、比較は出来ません。
しかし、アメリカの教科書は、簡単な言葉で分かりやすく書いてあるし、例も非常に分かりやすかったです。
機会費用(opportunity cost)に関しては、NBAトップ選手の例が挙げられていて、非常に分かりやすかったです。
マクロ経済&ミクロ経済に関しては、日本語の参考書を持っていっていました。
でも、英語の方が簡潔にまとめられていて、最初に経済学の基礎を学ぶにはこの教科書を使ったほうが理解しやすいと感じました。
これは、様々な国の人間が経済学の基礎を学ぶために、簡潔に書かれているからだと思います。
この教科書は「基礎経済学(foundation Economics)」を英語で学ぶには、オススメです!!
2.基礎経済学(foundation Economics)の授業とは?
基礎経済学の授業では、
一番最初に
・需要の価格弾力性(Price elasticity of demand)
・供給の価格弾力性(price elasticity of supply)
を学びましたが、正直、日本語で学ぶより英語で学んだほうが理解しやすかったです(笑)
これは自慢をしている訳ではなく、英語の方が解説が簡潔なのです。
(これは、基礎経済学の予習ノートです)
基礎経済学のクラスでは、様々な事を学びましたが、一番思い出に残っているのは「国際貿易の授業」です。
国際貿易とは、一言で言うと「国境を越える財・サービスの取引」です。
ここでいう「国」とは経済的な諸制度や諸慣習の点でまとまりのあるひとつの地域であれば十分であって,主権国家である必要はない。
というのが定義です。
国際貿易を学ぶ事で、
・先進国と途上国の関係性
・生産と消費の関係性
・機会費用の応用
・比較優位性を持つサービスとは何か?
・比較優位の原理(Principle of Comparative Advantage)とは何か?
・競争力とは何か?
などを、学ぶ事ができました。
また、経済学の授業では、こんな一例もありました。
皆さん、バービー人形は知ってますよね?
あの人形を作るのに関連している国を簡単に上げてみましょう。
・サウジアラビア(石油)
・台湾(ボディー)
・日本(髪の毛、工業技術のノウハウ)
・中国(服、工場)
・インドネシア(工場)
・マレーシア(工場)
・ヨーロッパ各国(工場技術のノウハウ)
・アメリカ(工場技術のノウハウ)
1つの商品を作り上げるのに、様々な要素が組み合わさって出来ています。
3.MBAケーススタディ(アジア通貨危機)
基礎経済学のクラスには、韓国人、タイ人、インドネシア人が居た事もあり、アジア通貨危機に関してもケーススタディーとして取りあげられました。
教科書には載っていなかったのですが、韓国、タイの留学生が「アジア危機」を議論にしたいと言い出したことが発端でした。
【アジア危機に関して】
簡単に当時(1990年代)の状況を説明します。
アジアに投資していた人たちは、アジア経済が奇跡的な成長を続けていた事もあり、「アジア経済の将来」に対して強い期待を持っていました。
当時のアジアの国々は、経済収支の赤字が続いていましたが、
「アジアの国々で経済収支の赤字が続いていても、輸出がきちんと伸びているからOK」
と思っていました。
しかし、その輸出が「アメリカの強いドル政策の影響(ドルペッグ政策)」で、伸びるどころかマイナスになってしまいます。
そこで、世の中のアジア経済に対する見方が、どんどん変化していくことになります。
この記事内で、アジア危機に関しての細かい説明は省きますが、簡単に言うと
・1997年7月に、ドルペッグ制(ドルに対する固定相場制)を維持できなくなったタイのバーツが暴落した
・その結果、アジアに投資していた世界中の人達が、いっせいにアジアの国々からお金を引き上げてしまった
・さらに、ヘッジファンドの空売り攻撃も激しくなり、マレーシア(リンギット)、インドネシア(ルピア)、韓国(ウォン)も暴落
※インドネシアに至っては、通貨の価値が80%も下がってしまいました。
この様に、タイの通貨危機を引き金に、アジア全体の通貨危機が起こってしまいました。
その後のアジア各国の経済の話や、当時のことを覚えていた留学生が、自国の状況はどんな感じだったのか?を話し合い、クラスのディスカッションは盛り上がりました。
このケーススタディー自体は、凄く面白かったのですが、もっと興味深い話がありました。
授業後のオフィスアワーで、「アジア危機」のケーススタディーに関して教授と話していた時のことです。
教授から
「歴史というのは、究極の結果論なんだよ。だからこそ、我々は経済学を学ぶときに、経済理論だけを学ぶのではなく経済の歴史を学び、先を読まないといけないんだ。ただ、経済学だけを学ぶのではなく、統計学やファイナンス、会計学、マーケティングなどの他の学問も学び、それらの情報を組み合わせて、更なる危機に備えないといけないんだ!」
と言われたことでした。
「歴史=究極の結果論」
歴史を、そういった認識で見た事がなかったので、これは本当に自分には衝撃的でした!!!
5.まとめ
経済学というと、苦手意識を持っている人が多いと思います。
ただ経済学の理論と同時に、「過去に世界で起こった経済的出来事」を「歴史」と認識して「現在の状況と照らし合わせて、未来を予測する」という風に見ていくと、経済学の見方も変わってくると思います。
勿論インターネットの発達で、1990年代の経済の仕組みと現在の経済の仕組みは、大きく変わってきています。
今後AIの発達により自動化が進んでいく中で、さらに経済のシステムは変わっていくことでしょう。
しかし、その経済を動かしているのは(今のところ)人間です。
マトリックスの世界観のように、今生活している世界が仮想現実にでもならない限り、人間が経済を動かします。
僕がビジネススクールで学んだ「MBA留学で経済学を学ぶ本当の意味」は
経済学を理論だけではなく、「経済の歴史」も一緒に学ぶ事です!!