TERUです。
去年書いた、こちらの記事(地政学の基礎を分かりやすく。世界の見方がガラッと変わります!)は、結構な反響を頂きました。
今まで地政学という言葉に馴染みが無かった人にも響いたみたいで、反響が大きかったです!
有難うございます!!
※2021年2月現在で、4万人以上の方に見て頂き、コメントでも高評価を頂いております。
今回の記事では、アメリカ生活10年目に突入した僕が、
『アメリカとはどんな国なのか?』
という事を、僕なりの視点で書いていきたいと思います。
僕は、「アメリカを知るには3つのキーワードがある」と考えています。
それらを順に説明していきたいと思います。
【目次】
1.WHO IS US?
2.アメリカのフロンティア精神
3.アメリカの多様性~多様性が生んだ外交上手
「WHO IS US?」というのは、アメリカの経済学者のロバート・ライシュが1990年に書いた論文のタイトルです。
このタイトルは、USがUnited StatesのUSと掛け言葉になっています。
そこで、「アメリカとは、どういった国なのか?アメリカをアメリカにしたものは何か?」という風にも取る事が出来ます。
※こちらは英語ですが、その概要を見ることが出来ます(ハーバード・ビジネス・レビューのページです)。
まずアメリカ大陸に最初に渡ってきた人達の歴史を見てみましょう。
1620年9月、イギリス国教会の改革を唱えたプロテスタントのグループ(ピューリタンのメンバー102人)がメイフラワー号でイギリス南西部プリマスから新天地アメリカに旅立つ。
↓
夢と希望を持ってアメリカに渡って彼らだったが、見渡す限りの荒野に降り立った彼らは厳しい冬を迎え、厳寒と病気のため半数以上の人が死亡した。
しかし、ネイティブアメリカンの人達の助けによって生き残った人々は理想社会の建設に向ってひたすら働く。
※11月の第4木曜日のThanksgiving Dayは、アメリカでの初めての収穫を神に感謝し、冬を越す知恵を授けてくれたネイティブアメリカンを招待して祝宴を催したことに由来している行事です。
↓
その後「北米植民地戦争」「ボストン・ティーパーティー事件」「アメリカ独立戦争」と騒乱、戦争を繰り返し、1783年にパリ条約が締結。
イギリスはアメリカの独立を認め、1787年アメリカ合衆国憲法が制定。1789年には初代大統領ワシントンが選出。
というのが、もの凄~く大雑把な、「1620年にピューリタン達がアメリカに渡ってから、1789年に初代大統領ワシントンが誕生するまでの流れ」です。
ピューリタン達が、「カトリック vs プロテスタント」という2つの宗教対立というしがらみの中から、自由の地を求めてアメリカに渡りました。
新天地を求めて、アメリカに渡った彼らには『他の国が犯している過ちを正すためにアメリカという国は存在する』という認識が存在していたと僕は考えています。
それは、今までのヨーロッパの共同体の反省から生まれた、別次元の共同体を目指した国家作りがこの国の根本にあるのです。
教育という面から見ても、それは明らかです。
アメリカの教育に関する記事も参考にしてください
★移民にも大きく分けると2種類の移民がいた、という事はあまり知られていないので、ここに記しておきます。
「政治的(宗教的)な理由でアメリカに渡った移民」~これは説明済みですね。
「経済的な理由でアメリカに渡った移民」~土地が無い貧しい農民が中心。ニューワールド(アメリカ)では頑張り次第で自分の土地を持つことが出来る!と期待して渡ってきた移民です。
(他にも政党はありますが、基本無視します)☆アメリカの2大政党(民主党、共和党)の大まかな支持者、支持団体について
民主党 |
党 |
共和党 |
後から来た移民(イタリア系、ユダヤ系、ヒスパニック系、中国系、黒人)
□ 政府に面倒を見てもらいたい □ 福祉を沢山やって欲しい □ 国際協調したい |
支持者、及び |
最初の移民(白人、農民) ■ 西部開拓気質が残っている ■ 自分の身は自分で守る ■ 保険も年金も要らない ■ 聖書に書いてある事は全て正しい
|
□ 国務省
□ 国際金融機関(ゴールドマンサックスなど) □ IT業界 □ 全米訴訟弁護士協会 □ 環境保護団体(グリーンピースなど) □ ロスチャイルド家 □ 原子力産業 |
主な支持団体 |
■ 国防総省(ペンタゴン)
■ 軍需産業、武器メーカー(ボーイング、ダグラス等) ■ 全米ライフル協会 ■ カーギル、モンサントなどの穀物メジャー ■ 国際石油資本 ■ ロックフェラー財団
|
□ 大きな政府(福祉、公共事業、規制緩和)
□ 自由実現へ政府が介入 |
思想 |
■ 小さな政府(規制緩和など)
■ 自由競争、市場重視 |
クリントン政権(手厚い政府支出による経済政策「クリントノミクス」) |
過去の代表的な |
レーガン政権(80年代の自由主義経済政策「レーガノミクス」) |
ここで、注目すべきは、トランプとよく比較されるのが表の一番下にあるレーガンです。
レーガンの政策は、「レーガノミスク(サプライサイド政策)」と言われます。
この政策のテーマは
『外の敵をやっつけろ!』
『我々は自分達で自分達を守ろう!=強いアメリカを取り戻そう』
です。
共和党は、自由貿易を主とした思想なのですが、トランプはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)反対の立場でした。
元々、彼は民主党支持者でしたが、今回の選挙で共和党として当選しました。
そこで、選挙中の矛盾した発言で共和党内から反発が強かったわけですね。
問題は、今後共和党内でどういう話し合いになるのか?
そして、副大統領になるペンスとの相違です。
ペンスは、下院議員時代にはFTA(米韓自由貿易協定)の批准など、自由貿易を促進する数々の法案に賛成。
インディアナ州知事としては2015年に「関税や貿易障壁の削減でインディアナの企業が海外市場にアクセスしやすくなる」として、同州選出の議員にTPP 賛成を呼びかけていた人です。
アメリカの過去の歴史と政策から、今後のアメリカがどのように変化していくのか?
それはトランプの周りにどのような参謀が付くかで変わってきます。
アメリカを語る上で、また理解する上で欠かせないキーワード
『フロンティア精神』
です。
西部開拓時代、フロンティアを開拓していくのに、国は「頑張れば頑張るほど儲かる仕組み、インセンティブ」を人為的に作りました。
その結果、アメリカでは『競争の理念』が生まれることになります。
先程、アメリカは『今までのヨーロッパの共同体の反省から生まれた、別次元の共同体を目指した国家作りがこの国の根本にあるのです』と書きました。
アメリカは歴史が浅い国であるがゆえに、逆に世界で最も歴史学の発達した国
とも言われています。
これは、つまり「自分達のルーツを一生懸命探そうとした」のという意味だと思います。
20世紀初期の歴史学者である、フレデリック・ターナーは「アメリカ社会におけるフロンティアの意義」の中で
『アメリカ合衆国の精神と成功は直接この国の西方への拡張に結び付けられる。
特異でごつごつしたアメリカの独自性が形成されたのは、
開拓者の文明と荒野の荒々しさとが出遭ったときに起こった。
このことで新しいタイプの市民が生まれた。
すなわち荒野を手なづける力のある者や荒野が力と個性を与えた者のことだ』
と言っています。
アメリカは常に「フロンティア」と共に歴史を作ってきたのです。
アメリカでのフロンティアとは、どのように変化していったのでしょうか?
【アメリカフのロンティアの歴史①】
19世紀までは、西部開拓というフロンティアがあった
(象徴するものは、大陸横断鉄道、ゴールドラッシュ)
(象徴するものはT型フォード)
(主に軍需産業)
彼は「ニュー・フロンティア・スピリッツ」を掲げ、宇宙というフロンティアを国民に見せました。
(これは、実際にはロシア(共産主義)の拡大を防ぐフロンティアであったと言われています)
オイルショックが重なり、更に日本の自動車がどんどんアメリカに入ってくる事で、アメリカの自動車業界は大打撃を受けます。
また、日本のバブル期はこの頃なのでマンハッタンのビルを日本企業が買い漁ったりしていましたね。
そんな時に、現れたのはレーガンです。
彼は、「強いアメリカを取り戻そう!」というフロンティアの原点を国民に示しました。
※トランプさんが自身の事業を始めたのが1970年代。
そこで彼のイメージでは「日本車、日本企業=アメリカの経済を駄目にする」という強い印象を持っており、選挙中でのあの発言に繋がっているのだと思います。
全く間違えた意見ですがwww
【現在のアメリカのフロンティア】そして、現在のアメリカはIT、人工知能というフロンティアがあります。(これは当分続くでしょう)
このように、フロンティアという視点でアメリカの繁栄、衰退を見ていくというのも歴史、政治、経済の1つの見方(要は、地政学的なものの見方)です。
【歴史は繰り返す】
カーター政権(ノーベル平和賞を取った民主党の大統領)に不満を持つ国民が、次のアメリカを託したのがレーガン(元俳優という異色の立候補者 ※彼はカルフォルニア州で8年も知事を務めた実績はありましたが)でした。
↑↑↑↑
この構図、見た事ありませんか?
ローマの歴史家クルチェウス=フスは「時代は繰り返す」という言葉を残しています。
僕は時代というのはある程度、螺旋状になっていて繰り返していくものだと(100%ではないですが)信じています。
(僕が、選挙前からトランプが大統領になると言っていた理由の1つにこれもあります)
何故なら、どんなに文明が発達しても、人間の根本にある欲望などに差は無いからです。
アメリカは、多民族国家と言われます。
ここで、考えるべきはアメリカは他の国が持たない「多様性(人種、宗教、言語など)がある」という前提を持っていると言うことです。
アメリカはUnited Statesです。
これが意味することは何でしょうか?
まさに、今回の記事の最初に挙げた「WHO IS US?」のUSですね。
アメリカという国は、52の州から成り立っています。
その州ごとに法律も違えば、文化も違います。その多様性さ故に、衝突もありました。
つまり、18世紀後半からグローバル化のシミュレーションをしてきたのです。
各州の衝突=国内政治の中に外交の要素が含まれているのです。
長い間そういった練習を積んできた国と、グローバル化の対立になった時に、日本は勝てるでしょうか?
正直、やり込められてしまうでしょう。。。。
本当に安倍さん、頑張って下さいね!
もう1つ、大事な要素があります。
それは
『大国は二枚舌である』
という事を、日本は知るべきということです。
ここで言う大国=国連常任理事国としましょう。
過去の歴史を見る限り
という歴史を持っています。彼らの言うことを全て信じてはいけません。
では、どういう目線で見ればいいのか?それこそ「地政学的視点」です!!!
以上が、アメリカの地政学を学ぶ前に知っておくべき「アメリカを知るための3つのキーワード」です。
・今後のアメリカがどうなっていくのか?
・日米関係はどうなっていくのか?
・朝鮮半島情勢はどうなっていくのか?
・ヨーロッパ情勢はどうなっていくのか?
・世界の情勢はどうなっていくのか?
などに興味がある方は、是非とも地政学を学び、世の中に出回るくだらない情報に惑わされる事なく、自分の脳で考える癖をつけるべきです。
かなり長くなりましたが、有難うございました!!
★毎週月曜の【アメリカ通信】
他の誰でもない、アメリカに住んでいるTERUだから語れる
マスコミが伝えないアメリカの姿を一般人の目線で語っています
★毎週金曜の【QOL MIND】
人生の質を向上させる音声をお届けしています
・マインドセット
・時間管理術
・セルフコントロール
等々を、TERUがオンラインサロン(無料)で語っています。