トイレ清掃の女性のストーリーから学べる事~道義の大事さ

TERUです。

今、日本では「日本の良さを世界に発信」的な番組が多いと聞きます。
僕は、それはそれで素晴らしい事だと思います。

僕自身、日本国外に出たからこそ感じる『日本の素晴らしさ』を感じる事は多々あります。

それと同時に、アメリカに10年住んでいて、
・アメリカの良さ、悪さ
・日本の良さ・悪さ
を肌で感じる事も、沢山あります。

 

どちらが優れているとか劣っているとかいう話ではなく、僕はお互いの良い面・悪い面をしっかり学び、血肉としていく事が大事だと感じて行動するように心がけています。

僕が直接会う人によくいう事があります。

「日本人が持つホスピタリティー精神を土台に、欧米式の強引さを持ち合わせた人間は、最強のグローバル人間だ」

このホスピタリティー精神の核となるものを、僕は「道義」だと考えています。
英語で言えば、Principleが最も近い意味になるでしょうか。

 

そんな「道義」を、今回の記事のテーマにして、ストーリー形式で書いてみました。

 

1.会社をリストラされた女性のストーリー

とある一人の女性が、突然会社を解雇されました。

元々は正社員として働いていたのですが、急にリストラをされてしまいました。
当時の上司に言われた解雇理由は、

「女性だから、今後の事を考えて優先的に切っていく事にした。」

こんな無責任で酷い一言だったそうです。

彼女はリストラされた後に、ビル清掃の会社でパートとして働き、トイレの清掃員をしてます。
来る日も来る日もトイレやビルの共用部の清掃を行っています。

彼女は、いつも「仕事があるだけで、仕事を与えられているだけで感謝している」という気持ちで仕事をされています。

どんな仕事でも差別されずに必要とされる仕事は有り難く、とてもやりがいのある事です。
日々喜んでトイレの清掃を行い、利用者が快く使用出来るよう心がけてピカピカにしてくれています。

清掃中は、もちろんトイレ前に「清掃中」の立て看板を置いて作業をしますが、それでも利用者はどんどん入ってきます。
普段、利用者にとっては『空気』の様な存在である彼女達は、特段気にもしませんが気にもされていません。
それぐらいが丁度いいのです。

 

そんな彼女が、とても嫌な経験をしたのです。

 

 

2.就活生がトイレに入ってきて。。。

いつも通り男子トイレの清掃に入り、小便器をゴシゴシと掃除していた、その時。。。

リクルートスーツに身を包んだ大学生らしき2人がトイレに入ってきました。
彼女がパートで働いていた建物は、色々な企業がオフィスを構え、丁度どこの企業も新卒採用の面接を行っている時期でした。

私が小便器を丁寧に掃除していると、小便器を掃除する私に向かって酷い言葉呟いてきました。

 

学生A:「こんな仕事やだよなー。まじで無理だわ、俺」

学生B:「いや無理とかってレベルじゃないだろ!トイレの掃除とかキモいって!!!
とりあえずこうなったら人間のゴミだわ!(笑)」

彼女は、知らないフリをして、聞こえないフリをしました。

一生懸命悔しい気持ちと、怒りを食いしばり我慢しました。
ここで言い返したりしては、私はこの大学生たちの言う様に本当の『ゴミ』になってしまう様な気がしたからです。

言い返す=認める事、
このような思いが、咄嗟に私の心で我慢するという選択を取ったのだと思います。

しかし、この大学生二人組は、この後凍り付くような窮地へと追い込まれる事となったのです。。。

 

 

3.学生達に声をかけた男性とは?

この2人の大学生たちのすぐ後にトイレに入ってきた一人の男性が居ました。

この男性が、大学生が私の事をバカにした後、ボソッと大学生に言葉を掛けます。

 

君たちは、就活生かい?

だとしたら、0点だね。
なぜなら君たちは、仕事の意味を履き違えているようだ。

どんな仕事でも、仕事があるという事は必要とされているからなんだよ。

立派な仕事。
誰にでも出来る仕事じゃないことをしてくれる人がいるから、君たちは何不自由なく便利に使えたり利用できるんだ。

 

いいかい?
『ゴミ』なんて言葉を使うんじゃない。

掃除をする方が、掃除をして給与をもらうだろ?
これは、「その仕事や人に対しての対価=ありがとう」という報酬なんだよ。

 

そこにお金という対価が発生しているという事は、必要とされているからなんだ。
ゴミじゃないんだよ。

でも、きっと雇う側も仕事を与える側も、君たちの様な価値観の人間には何も渡さないと思うが、どう思う?

 

そう言い、ふと大学生が首から下げている名札を見てさらに笑みを浮かべ、こう言いました。。。

 

「ふむ。面接か…
楽しみだね。

そのロゴは私の会社のシンボルだ。

後で、面接室で続きを話そう」

 

男性が最後に言った言葉の意味を、彼女はすぐに理解出来ませんでした。

しかし、リクルートスーツを着込んだ大学生2人は、すぐにこの意味を悟った様子で、呆然と立ち尽くしていたようです。

 

そうです。
この男性は、彼らがこの後面接を受ける会社の社長だったのです。

彼女自身、このビルの清掃をしていて何度か見かけた事はある顔でしたが、まさか会社の社長だったとは知りませんでした。

 

 

4.彼女からのメッセージ

世の中に仕事や与えられる責務は数えきれないほど種類があるでしょう。
しかし、それをバカにしたり差別したり比べる事は決して良くはない事だと思います。

その職種、その責務には全てに『事情』があり、『原因』があり、『目的』があるという事を忘れてはいけません。

この翌日から、トイレで用を足しながら大学生へ説教をした『少しワイルドなおじさん』は、私を見る度に微笑んでくれます。
そして、必ず一言声を掛けてくれます。

「いつもご苦労様!」

ただ、その二人の大学生をこのビルで見かける事は、あれ以来一度もありません。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

如何だったでしょうか?

この話から、何を感じますか?

僕の日常の自らの行動基準の1つに

「道義を重んじる」

という行動指針があります。

 

だから、この話を聞いて、

・道義を重んじない言動が、人としてどれだけ醜い行動か?

という事を再度認識しました。

 

この話を聞いて、人の受け取り方は様々でしょう。

・仕事とは何なのか?
・仕事をするとは、どういう意味なのか?
・人を見下すという行為が、どれだけ貧しい心の持ち主か
・道義を重んじない言動が、人としてどれだけ醜い行動か?
等々・・・

しかし、何も感じない人は人生もうまくいかないでしょう。

 

この記事が、お役に立てれば幸いです。

 

※このトイレ清掃の女性のストーリーは、僕のオリジナルではありません。
インターネットで一時期話題になったストーリーなので、御存知の方も多いかもしれませんね。
今回は、そのストーリーの一部を抜粋してみました。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください