TERUです。
アメリカで一番有名なSUSHIは、「カルフォルニアロール (California roll)」
先日、僕が食事した際にランチボックスに入っていたのも、カルフォルニアロールでした。
その誕生は、1963年にオープンしたリトル東京の『東京会館』
東京会館で『タラバガニの脚身と刺身のような食感のあるアボカドをマヨネーズであえた巻き寿司を考案したのが始まり』と言われているのは、御存知だと思います。
※東京会館=新宿赤ダコ姉妹店
カルフォルニアロールと裏巻きの由来や、中身の説明などに関しては、他のブログにお任せするとして(笑)
今回の記事では、1980年代のアメリカにおける日本食の歴史と、カルフォルニアロールから学べる「これからの時代に求められる人」について。
【1980年代のアメリカ国内での日本食】
カルフォルニアロールが生まれたのは1960年代です。
当時は「生魚を食べるなんて、日本人、WOW~」と言われていた時代。
その後、アメリカ各地に日本食レストランが広まっていったのは1980年代といいます。
そこで、僕がアメリカの食業界で見聞きした1980年代のアメリカ国内での日本食状況をまとめると、下記のようになります。
1980年代半ばのアメリカでの日本食は
・寿司
・天ぷら
・すき焼き
・照り焼き
のイメージ
その中でも寿司は、表舞台にあるものではなく前菜のような扱いだったと言います。
その大きな原因の1つは、当時の流通にあったようです。
アメリカ自体、大陸の両岸は海に面していて、東海岸やアラスカにはいい漁場もある。
でも、魚を生で食べる習慣の乏しかったアメリカでは、鮮度を保ったまま流通させるというシステムが存在しませんでした。
そして定番の寿司ネタ(烏賊、蛸、鯖、穴子)などは日本からの冷凍輸入で、決して美味しいものではなかったようです。
(当時の冷凍技術も今ほど発達していなかったので)
今でも、地方の魚市場に行けば分かるのですが、お世辞にも魚の取り扱いは丁寧とは言えません。
でも、様々な日系水産会社の努力もあって、確実に漁師さんの意識も変わってきています。
例を挙げれば、、
・ノースキャロライナ産のヒラメは、漁師さんがきちんを魚を〆て処理していて、アトランタ界隈では美味しいヒラメを食べる事が出来ます。
・ボストン沖で採れる海老は、日本の南蛮海老と似た食感で甘くて美味しいです。
・カルフォルニア(特にサンターバラ産)のウニは、見た目も鮮やかで、他の産地に比べても全く味が違います。
※ウニは、元々食べ方も加工の方法も分からず、漁師は捨てていたと言います。
本マグロの引き合いから見る、世界の景気
ちなみに、あとで紹介する「ジョブズの料理人」にも書いてありますが、世界でどこが景気がいいか?を見るのに本マグロがどこに出荷されているか?をみる。という話が載っていました。
これは、実際にNYのマグロの状況を聞いたときに、仲買の人が話しているのを僕も聞きました。
1990年代前半の本マグロの引き合いは
・一番いいグレード=日本
・その次のグレード=マンハッタン内
・その次のグレード=アメリカ国内
だったそうです。
その後、アメリカでITバブルが発生すると、
・一番いいグレード=日本が減り
・その次のグレード=マンハッタン内での需要が急増
・その次のグレード=アメリカ国内での需要も増加
そして、アメリカのITバブルが崩壊後は
・一番いいグレード=日本は更に減り
・その次のグレード=ロシア向けが増え
・その次のグレード=アメリカ国内での需要が激減
という歴史があったと教えてくれました。
それが、今は中国からの本マグロの引き合いが凄く強いようです。
カルフォルニア米も、今中国からの引き合いが凄いようで、どんどん値上がりしています。
※この事に関しては、後日記事を書きたいと思います。
また、トロに関しては、こんな話もあります。
「1980年代以前は需要があるのは赤身ばかりで、トロは漁師が解体後に捨てていたそうだ。
日本でも江戸時代にトロは下手物として嫌われていたというが、米国ではつい最近まで同じ事が行われていた。捨てられた場面に日本人が出くわしてタダでもらうようなことが重なり、次第にトロに価値があることが知れ渡っていったそうだ」(ジョブズの料理人(P160)。日経BP社。2013年発刊)
【カルフォルニアロールから学ぶ「これからの時代に求められる人」】
1980~1990年代の日本食を取り巻くアメリカのザックリした状況は、今ままで書いてきた感じです。
(当時を知らない僕が見聞きしてきた事なので、100%合っているかどうかは確信はありませんが)
ただ、これだけは言えます。
カルフォルニアロール (California roll)の誕生は、凄く革新的だったって事。
今でこそ、マンハッタンやロサンゼルスでは
・懐石料理
・純和食
などの「伝統的な日本食」はアメリカ各地で食べる事が出来ます。
しかし、当時は全くの異文化であった日本食がアメリカで受け入れられる為には、鮨(寿司)を「ちょっと変える」必要がありました。
この「ちょっと変えること」が、僕がこのブログ内で何度も言葉を変えて伝えてきた『視点を変えること』です。
この「視点の変化」が、カルフォルニアロールの誕生を生んだのではないかと思います。
つまり、こういう事ではないかと
↓↓↓↓
鮨(寿司)→ ワンクッション → SUSHIになった。
※ワンクッション=日本とアメリカの両方の感覚
この「〇〇と△△の両方の感覚を持つ」事、その位置に居る事が、これからの時代には凄く求められるのではないかと僕は考えています。
これは、どんな人かというと、
『違う世界同士を繋げる橋渡しが出来る人』
です。
それが出来る事に寄って、新しい”何か”を生み出す事ができると僕は信じています。
それが『差別化』だし『価値を生み出す源泉』ではないのかと。
僕が2017年頭からスタートさせたFJ Interviewも、僕の中では小さな革命だと思って続けています。
↓
FJ Interview チャンネル
そういった人になっていく為には、
・自分が持っている感覚を大事にする
・行動の選択肢の幅を増やす
という2点が特に大事だと僕は考えています。
自分なんて
「何のとりえもありません」
「人と違うものなんて生み出せません」
と言う人でも、ちょっとした視点の変化を持つ事で「価値の創造」を生み出せると信じて行動して欲しい。
些細な変化からスタートして、大きな変化にしたければすればいい。
別に小さな変化も起こしたくない人は、そのままでいいと思います。
そこは、本人の自由です。
もし、小さな変化を起こしたいなぁ~。と思っている人にオススメは、、、
こちらの記事(ネガティブ・シミュレーションを身に付ける為の3つのポイント)でも書いた、『普段の何気ない行動において「何故?」を問いかける』のが、僕は一番手っ取り早い方法なのでは無いかな?と考えています。
【ブログ内で紹介した「ジョブズの料理人」とは?】
1980年代のアメリカの食文化の様子を知るには沢山の本が出ていますが、西海岸(特にシリコンバレー周辺)の当時の事情を知るには、こちらの本ですね
タイトル「ジョブズの料理人」
帯には「誰も知らないジョブズの素顔」とは書いてありますが、本の内容は殆ど寿司職人(佐久間さん)の回顧録みたいなものなので、ジョブズの事を知りたいのであれば、正直読む必要はないでしょう(笑)
それでも、読んでみたい人がいれば、お貸ししますよ~