サウスウエスト航空のビジネス戦略から、日本企業が学ぶべき事

TERUです。

 

サウスウェスト航空が、2017年1月に大きな発表を行いました。

2017年6月4日(日)から就航する、アメリカのシンシナティ、グランドケーマン島線などを含む新設路線、増便の発表です。

<主な新設路線、増便>
・シンシナティ発着では、ボルティモア、シカゴ・ミッドウェー線で直行便を運航
・シンシナティからアメリカ国内、カリブ海、ラテンアメリカ地域の100以上のアクセスを提供
・クリーブランド線でアトランタへ直行便を追加
・クリーブランド-セントルイス線にも2便目のデイリー便を追加
・フォートローダーデール・ハリウッド国際空空港発着の国際線で、新たにグランドケーマン島へ運航申請中
・モンテゴベイ(ジャマイカ)、カンクンへの新たなデイリー便の運航追加
・フロリダ内路線であるオーランドへのデイリー便の追加
・ワシントン・ダレスへのデイリー直行便の開設
・フィラデルフィアへのデイリー便の追加
・ラガーディア/タンパ線へのダブルデイリー便の追加
・デンバー/ペンサコーラ線への週末便の追加

 

大手航空会社がハブ空港を拠点に路線を拡大する中で、サウスウェスト航空の戦略は
2都市間を単純に結ぶ「ポイント・トゥ・ポイント」路線
を取っています。

これは、創業者ハーバート・ケレハーの戦略によるものです。
サウスウエスト航空の創業者ハーバート・ケレハーハーバート・ケレハー(Herbert D. Kelleher)

 

この記事では、サウスウエスト航空の驚きの最強ビジネス戦略に関して、考察していきたいと思います。

 

【目次】
1.サウスウェスト航空の最強ビジネス戦略とは?
2.日本企業が学ぶべきこと

 

1.サウスウェスト航空の最強ビジネス戦略とは?

サウスウェスト航空に関しては、以前こちらの記事(サウスウエスト航空の躍進の秘密は、独特な採用試験だった!)で書きました。
実は、前回の記事には書ききれなかったサウスウエスト航空に関して面白いデータがあります。

金融情報誌「マネー」によると、

1972年にタイムスリップして、S&P500(アメリカの主要銘柄500種)の全会社に1ドルずつ資したとします。
その後の30年間で、もっとも利益をもたらしてくれたのは、GEでも、IBMでも、インテルでもなく、「サウスウエスト航空だった」のです。

 

サウスウェスト航空は、
・凝った機内食で高い料金を取る代わりに、機内食を出さない
・座席指定も廃止し、好きな席に座れるようにした
・至れり尽くせりのサービスで価格を吊り上げるより、単純に乗り物として使ってもらうようにした
という「トレードオフ戦略」を取ってきました!!

これに関しては、以前の記事で書いた
サウスウエストを見るときの4つのキーワードの中の1つ目「安さ」に関わってきます。

 

『競争の戦略』で有名なマイケルポーター博士もこう言っています。

「戦略には選択とトレードオフがつきものだ。独自性を意図的に選び取るのである」

『競争の戦略』で有名なマイケルポーター博士(マイケル・ポーター博士)

 

先に挙げたサウスウェスト航空が取った戦略は、『コストダウン』という機軸の元に選ばれたものであり、捨てたものもありました。

・多様な行き先を望む客
・高くて美味しい機内食を望む客
等々は戦略的に捨ててきました。

それは、サウスウェスト航空は
★LCC(格安航空会社)であり、
★お金がかかる戦略は、サウスウェスト航空の本質から外れている
というケレハー氏の考えから離れていたからです。

創業者ハーバート・ケレハー氏は、このように言いました。

「あらゆる選択肢を見た上で、こう言わなくてはならない。『お断りします。うちの目指すも目的に貢献しないことをいくらやっても意味が無いんです』」

 

創業当時、多くの批評家や世間の人からサウスウェスト航空は酷評されたそうです。
「そんなやり方、うまくいくわけがない」
「いくら安いからと言って、行き先も少なく食事も出さないような飛行機に誰が乗るんだ?」

しかし、以前の記事にも書いたように

『1971年に設立され、1973年に黒字化してから、一度も赤字になったことがなく、9・11のテロ以降、全世界の航空会社が赤字になったのにも関わらず、サウスウェスト航空だけはなりませんでした』

 

【失敗したコンチネンタル航空】
コンチネンタル航空という航空会社は、かつて存在したアメリカの航空会社です。
2010年10月、ユナイテッド航空と持株会社方式で経営統合し、2012年3月にユナイテッド航空と完全統合されて消滅しました。コンチネンタル航空は、サウスウェスト航空の真似をして失敗し、消滅した航空会社です。★失敗した理由①~コンチネンタル航空の真似戦略
・ポイント・トゥ・ポイント型の「コンチネンタル・ライト」サービスを提供
・運賃を抑え、機内食や手厚いサービスを廃止
・1日の発着回数を増やした

★失敗した理由②~中途半端な真似
コンチネンタル航空は、従来の通常便と平行して行ったために、実際にはコスト削減が出来ておらず、結果厳しい価格競争の中で、サービスの質が低下することになってしまったのです。

 

サウスウェスト航空が意図的に『トレードオフ戦略』を行ったのに対し、コンチネンタルは中途半端に足を突っ込み、場当たり的にあれこれと試しただけでした。

 

マイケルポーターは、こうも言っています。

「戦略的ポジションアは、別のポジションとのトレードオフなしには維持できない」

『競争の戦略』で有名なマイケルポーター博士
つまり、2つの相容れない戦略を両立させようとすると、競争力は失われてしまうのです。

 

2.日本企業が学ぶべきこと

今、日本企業は目に見えない不景気に悩まされています。
『効率化』
などという言葉が各新聞やネットニュースの記事におどっていますが、それよりも先にやるべき「戦略の見直し」があるのではないかと思います。

そうでもしないと、今後どんどん日本企業は世界から取り残され、最終的には海外のハゲタカファンドに食いつぶされてしまいます。

まだ、立ち直るチャンス、時間的余裕はあります。

今は、まさに時代の転換期なので、今こそ日本企業が再度世界に羽ばたく時だと僕は信じています!!!

 

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3件のコメント

  1. コンチネンタル航空に関してはその後のサクセスストーリーがあるため、このような書き方をなされるのは不服だ。

    1. James Tomsonさん
      コメント有難うございます。

      コンチネンタルは、その後確かにベスーン氏が様々な改善を行い、業績は復活しました。
      しかし、それはサクセスストーリーではなく『一時的なカンフル剤に過ぎなかった』というのは、ノースウエストとの提携、ユナイテッド航空との提携、合併(=コンチネンタル消滅)という結果からしても明らかでは無いでしょうか?

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