「お客様は神様」は間違い!その理由と、三波春夫の真意とは?

アメリカで仕事をしていると、ごく稀にですが、こう聞かれる事があります。

「日本人が言う、『お客様は神様です』ってどういう意味?」

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの一神教の人からすると、「神」という存在は特別で、「何故客が神なんだ?」と余計に理解出来ないそうです。
各宗教に関しては、こちらの記事(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の関係、違いを分かりやすく)でまとめてあります。




 

『お金を払う人間=偉い』と発想が貧相

『お金を払う人間=偉い』と発想が貧相

そもそも「お客様は神様です」という言葉が勝手に独り歩きしてしまった結果、
1.「間違えて解釈されている」という問題
2.勘違いしたまま「日本人にとっては、お客様は神様です」という間違えた日本文化を伝えている日本人の情報弱者が居るという問題

が発生しています。

問題の根本は、「お客様は神様です」という言葉に疑問を持たず、インターネットで拡散された嘘情報を信じてしまう事にあります。

普通に考えて、「お客様=神様」という図式に疑問を持たない事が不思議です。
『お金を払う人間=偉い』と思う事事態が発想が貧相なのです。

 

レストランにおいて「客」と「シェフ」の関係

例えば、レストランにおいて「客」と「シェフ」の関係は

客は
「その料理を食べたい、その料理に価値を感じる」から、その対価としてお金を払う

シェフは、
その払われた対価に見合うだけの料理を提供する

となります。
どちらが上とか下という関係性は、ここには発生しません!!

 

以前、日本食レストランを経営する中国人オーナーから

「〇〇(他の業者)の日本人が言ってたけど、日本人にとっては『お客様は神様』なんでしょ?だったら、どんどんうちらが儲けるように値引きしてよ(笑)」

と冗談半分に言われたことがありました。

もちろん
「どうして、日本ではそういう言葉が存在するのか?」
「『お客様は神様です』の本当の意味は?」
を説明して、納得してもらいました(笑)

僕はこの質問をされる度に、その誤解を解くために全力で説明しています。

 

また正直な話、非常に残念な事ですが。。。
アメリカで働く日本人のシェフやオーナーでも、「レストランが偉い。業者は下」という態度を露骨に出す人も居ます。

「俺らは客だろう。だったらいう事を聞け」
という人もいるという話は聞きます。

同じ日本人として、そういう人がアメリカで日本食を「日本人として」提供しているというのは、非常に残念です。

 

「レストラン」と「業者」の関係

このレストランと業者の両者間にも、本来であれば

レストランは
「その業者が持つ商品やサービス、配送などの条件に価値を感じる」から、その対価としてお金を払う

業者は
その支払われる対価に対して「全てを満たす事は不可能だが、出来る限りのサービス提供は全力で行う」

という関係性があるべきなのです。

業者が「ライバルが多いから、この仕事ではレストランのいう事を聞かないといけない」と考えているうちはダメです。

どのビジネスにおいても、サービスがコモディティー化したら、その会社は終焉への道しか残っていません。

 

『お客様は神様です』の本当の意味は?

『お客様は神様です』

この言葉を生み出した方はご存知ですか?
三波春夫さんです。

「お客様は神様です」を生み出した三波春夫さん

三波春夫さんのオフィシャルホームページは、こういった書き出しで始まっています。

三波春夫といえば『お客様は神様です』というフレーズがすぐに思い浮かぶ方が少なくないようです。印象強くご記憶頂いていることを有り難く存じます。
ですが、このフレーズについては、三波本人の真意とは違う意味に捉えられたり使われたりしていることが多くございますので、ここにちょっとお伝えさせて頂きます。

三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。
三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのですし、また、営業先のクライアントのことでもありません。

(中略)

『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです』

この言葉を誤解している日本人(特にクレーマー)には、是非とも最後の『』の中をよく読んで頂きたいですね!

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