MBAホルダーから就活生へのメッセージ③~エントリーシートの見出しで、採用担当者を惹きつける方法

TERUです。

ロサンゼルスキャリアフォーラム、ボストンキャリアフォーラムに参加される皆様に向けて、日米両方での就職活動を経験した僕が、巷の就職活動本やインターネット情報では語られる事のない、「エントリーシートの書き方等」を伝授します。

 

今回も、就職活動をしている学生さんや、転職活動中の社会人の方にお役にたつ記事を書いていきます。

以前の記事で、
・3つのNOTの壁について
・3つのNOTの壁を越えには?

について書きました。

 

さて、ESを書く上で、重要になるのは「最初の一行」です。
そもそも、ESの中身を読みたくなるような一行目でなくては、いくらESの中身が良くても読んでもらえません。

魅力的で、採用担当者を惹きつける一行目を書く事は、ESを読んでもらうための最初のステップになります。

 

先日、とある有名企業の元人事部の方とお話をする機会がありました。(仮にA氏とします)
そこでの会話は

僕「実際、すごい数のエントリーシートが来るじゃないですか?正直、どれ位に目を通しているんですか?」

A「いや、正直言うと、全部に目を通す事は無理ですよね。なのでサーっと見て、最初の3行で目に留まらないものは省きますね」

でした。

 

こういう話は、よく耳にすると思います。
だから、就活サイト、就活本、大学の就職課が「経験値はこう話すべき」みたいなのをパターン化しています。

そこで、本当はボーッと暮らしている学生でも、そのルールに従ってESを書きます。
そうすることで、「とりあえず読んでもらえる」というステージには進める事が出来るかもしれません。

でも、こういう学生は基本話を盛っています。
なのでESを読み進めたら、話の筋が通っていない事が多く面接には進めません。

 

そこで、今回の記事では

「採用担当者を惹きつけるESの見出し」

を、文例と共にご紹介いたします。

これを、是非キャリアフォーラムでのエントリーシート作成のネタとして御活用下さい!

 

※今回も、かなりの長文になっています。

 

【目次】
1.ES(エントリーシート)の見出しの書き方と注意点
2.ES(エントリーシート)の文章構成の1例
3.まとめ

 

1.ESの見出しの書き方と注意点

ESの見出しの書き方

ESに関しては、色々と考えるべき事があります。

・ESは、文字数が限られている。
・ESは、そもそも採用担当者に読まれていない
・ESは、嘘を書いてはいけない
・ESは、書くべきテーマはたった一つ。言いたい事を何個も書いてはいけない
・ESは、リサーチの結果を出すべき
・ESは、場数を踏んだものの勝ち
・・・
などなど。

 

でも、一番大事なのは「一文目」です

これは、この記事の冒頭で書いた、僕と有名企業の元人事部の方(A氏)との会話でも明らかです。

 

僕「実際、すごい数のエントリーシートが来るじゃないですか?正直、どれ位に目を通しているんですか?」

A「いや、正直言うと、全部に目を通す事は無理ですよね。なのでサーっと見て、最初の3行で目に留まらないものは省きますね」

 

【ESの見出しの書き方の例】

ここで、ESの書き方の一例を出してみましょう。

例えば、アパレル会社(服、化粧品などを製造、販売)に男性が応募したとしましょう。

 

彼は、ESでは
・他人との差別化を出すべき
・自分の経験を示すべき
・最初の一行目で目立つべき
という事を、就活サイトや、就職本などで学んでいたので、こう書きました。

 

「私は、様々なファッション雑誌を買い、実際に自分も買って着てみて友人のファッションのコーディネイトもしてきました。その結果、どういう人にどういう服が似合うかが徐々に分かりました。・・・・・」

 

しかし、これは
自分の経験を書いてはいますが、他人との差別化は出来ていません。
しかも、そういうファッションのプロは世の中に沢山居るのです。

また、こういう人、こういう書き方をする人(つまりライバル)は、いくらでも居ます。

では、あなたならどう書き出しますか?

考えてみてください。。。





考えましたか?

 

僕ならこう書きます(2つ例を挙げてみます)

例1「私は、女性が化粧をする気持ちが20年間理解できませんでした。そこで、実際に百貨店の化粧品売り場に行き、化粧の勉強をしてみました。その結果、女性の気持ちが少し理解できました。・・・・・」

あらかじめ断っておきますが、僕は化粧はしませんよ(笑)

この一文を読んだから、「なんだこの人?」ってなりませんか??
次を読みたくなりませんか?
男性で百貨店の化粧日売り場に行って勉強って、どうやったんだろう?

実際に会って話をしてみたいと思いませんか?

例2「私はファッションの事は素人でした。そこで地元の図書館に行きました。そこには女性誌のバックナンバーが創刊号からあるので、過去のファッション雑誌を10年分読み漁り、この10年間の流行の流れを読んでみました。その結果、自分なりにファッションの今後の傾向を予想してみました。・・・・・」

国会図書館という手もあるのですが、地元の図書館などに問い合わせをすると、雑誌のバックナンバーを置いてある所もあります。
そういう事は、昔と違いネットでも調べる事は出来ますし、電話すればすぐに教えてくれます。

こういう努力をする人は、企業も欲しがります。
また、素人だと断った上で、勉強しているとことも好印象です。
そして、最初の例よりもその人の素直さが文章からも出ていますよね。

 

【ESの書き出しを書く上での注意点】

勿論、こういった書き方は実際に経験した事を書かないといけません。
話を盛って書くと、この先の文章が支離滅裂になってしまいます。

要は、『嘘はダメ!!』という事です。

経験に裏打ちされていない言葉は真実味が無く、内容が薄いのです。

 

僕がアメリカで転職活動をしていたときの話です。
僕は、日系総合商社のアメリカ法人へ応募しました。

そのときのESの書き出しは、睡眠に関して書きました。
たまたま、ESを書く数日前に社長のコラムがインターネットに載っていて、その中で睡眠に関して書いていたのです。

僕はその当時、自分の体を実験台にして睡眠の研究をしていました。
そして、他の応募者との差別化をするために、睡眠というテーマで社長とは違う見解を書き出しました。

勿論、ESの最後の締めくくりは「会社の役に立つ自分をアピール」ですよ。
ひたすら睡眠のことを書いても意味ないですからね(笑)

そして、見事スカイプ面接に呼ばれました。
面接にも行き、内定をもらう事が出来ました。

 

ただし、こういう手が通用するかどうかは、見極めが肝心です。
こういうのを良しとする会社もあれば、ダメな会社もあります。

僕は、会社の社風、歴史など様々な事を加味した結果、そういったESを書きました。

 

つい先日も、日本のニュースで「社長のTwitterを見てない人は不採用です」なんて発言をした社長が炎上していましたね(笑)
僕からすれば、あんな発言をする人の元では働かないほうがいいと考えています。

しかし、もしこのような会社に応募する場合は、社長が喜ぶようなESを書くといいのでしょう(笑)

 

では次に、ESの文章構成の1例を紹介します。
これは、僕が実際に日本での就職活動、アメリカでの就職活動、アメリカでの転職活動で使った手段です。

 

 

2.ESの文章構成の1例

 「風が吹くと桶屋が儲かる」を就職活動で使う

 

「風が吹くと桶屋が儲かる」
という諺を御存知ですか?

『名前は聞いたことがあっても、その詳しい内容は知らない』 という人が多いこの諺。。。

僕が初めてこの「風が吹くと桶屋が儲かる」という諺を知ったのは高校時代。
総合学習という名の授業の中でした。

そして月日は流れ、大学の就職活動時の事です。

「自分には、書きたい事がある。だけど、それを普通に書いても採用担当者の目には止まる事は無い。では、どうすればいいのか??」
という事を考えていました。

 

その時に、ふとこの「風が吹くと桶屋が儲かる」を思い出したのです。
そして、これを利用してみようと思い立ちました!!

何度か書き直しをして、大学の就職課に持って行くと、就職課の方が
「これは、面白いね!こういう書き方は初めて見たよ」
と言ってくれました。

試しに友人にも見せると
「ははは、これ惹き込まれるね!俺も真似してみようかな」
と。

さらに、当時付き合いのあった起業家の先輩に見せると
「ここの理論が繋がってないから、ここをこういう風に直すとより説得力が増すね」
とアドバイスをもらいました。

 

僕は、このESを提出して1次面接、2次面接、グループ面接、最終面接と辿りつき、内定を貰いました。
(この会社には行きませんでしたが)

僕は、この吹くと桶屋が儲かる」を利用した理論に、自分なりに勝手な理論を作り上げました。

そして、その理論に
『風桶理論』
と名付けました(笑)

 

【『風桶理論』とは、どんな理論なのか?】

この理論は、就職活動だけでなく、社会に出てからも、そしてMBA留学時のプレゼンでも使えました。
つまり、ビジネス全般にも使える素敵な万能理論なんです!

この「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺の一般的な解釈は

1.風が吹く

2.風が吹くと砂埃が舞って、人の目に入る

3.その結果、町中に盲人(目が不自由な人)が増える

4.盲人は三味線を買って生計をたてる

(当時、三味線は盲人が弾いた)

5.すると、三味線の需要が増える

6.三味線には猫の皮を使うので、猫が乱獲されて激減する

7.天敵の猫が減ったことで、ネズミが増える

8.増えたネズミが桶をかじり、町中の桶が使い物にならなくなる

9.桶の注文が殺到する

10.結果、桶屋が儲かる

といった話の流れです。

 

要するに、ある出来事が回りまわって意外なところに影響が出るという事です。
(逆に、当てにもならないことを期待するようなときに使うこともあるようですが)

この諺に関しては、「かなり強引なつじつま合わせだ!!」 という人もいます。

でも、もし2~9の情報がないとして、、、
これだけ因果関係をきちんとストーリー立てて

 

【風が吹く】からスタートして

【桶屋が儲かる】という結果を導き出すのは 至難の業です。

 

実際に、この1~10のストーリーを 自分なりにアレンジしながら、友人が納得するように話してみて下さい。
凄く難しいですよ!!!

 

ちなみに、この『風桶理論』のポイントは

全く関係ない話からスタートして、自分が導きたい結論までを、因果関係をしっかりと構築してストーリーを組み立てる
です。

では、僕はこの理論をどのように就職活動に使ったのでしょうか?

 

 

 

【風桶理論を就職活動にどう使ったか?】

「私は、◯◯球団の大ファンです。」
こんな文で始まるエントリーシートが、今も日本の母校の就職課には “伝説のエントリーシート” として、残っています。

いや、残っているはずです(笑)

 

僕が就職活動をしていた2000年は、『過去最大の就職氷河期』と呼ばれていました。

そのような厳しい状況の中、大学側が「是非彼を!」ということで、企業への大学推薦枠を薦めてくれたのは、、、

僕が、 成績優秀者かつ素晴らしいエントリーシートを書く能力があった。

からではなく・・・

 

僕が、

「他の学生とは全く違う視点での就職活動をしていたから」
だと思います。

僕は、「極端な天邪鬼」&「他人と同じ事をするのが大嫌い」な若造でした。
その結果、 普通じゃないエントリーシートばかりを書いていました(笑)

 

そんな「普通じゃない性格」が功を奏したのか、 就職課の人から、色んな意味で目をつけられていました。

「私は、◯◯球団の大ファンです。」
でスタートするエントリーシート

 

最後には、

「ですから、御社には私のような人間が必要なのです」
という文で、締めくくっています。

スポーツの話をしたいのではなく、 就職活動に全く関係のない話から、
『自分がどんな人間で、どんな経験をしてきて、どんな事が出来て、会社にどれだけ貢献できるか?』
ということを、ひたすら書きました。

 

【就活のESで大事な事は目立つ事であり、差別化すること】

「他との差別化」を生み出せる人間が「これからの時代に求められる“オリジナリティ”」

就職活動で、採用を勝ち取るための第一歩は、「目立つこと」 です。

「目立つ」=「人事の記憶に残る」
わけです。

その結果、
「この応募者に会ってみたい」
と思ってもらえるのです。

 

例えば、本を例にとってみましょう。

僕は、ここ最近セールスに関する本を10何冊と読みました。
そして気づいたことは
「結局はどの本も同じ事を言っている」
でした。

その中でも、記憶に残る本というのがあります。
それは、どんな本かと言うと??

 

関係のない話と、本当に伝えたい事を関連付けて上手に説明していたりする本なんですよね。

だからこそ、記憶に残るし、
「もう一回読もうかな」
という気になります。

ESでも同じです。
最初の一行で、採用担当者を惹きつける
次も読みたくさせる
ESを読み換わったときに、
「実際に、この応募者に会ってみたくなる」
という気持ちにさせるのです!!

 

さて、就職活動に話を戻しましょう。

「目立つこと」
が大事だということは分かってもらえたと思います。

 

だけど、一般の就活生のエントリーシートの冒頭は、『就職対策本』と呼ばれるものから 転記したりするものが多いです。
(少し手直しする程度)

僕はそれが大嫌いでした。
だって、何百・何千と送られてくるエントリーシートが 同じようなコピペだらけなんですよ・・・
企業側の採用担当者も読みたくないですよね(笑)

 

以前、外資企業の日本支社長の方に聞いた話なのです。

バブル崩壊以降、日本の企業に限らず、 グローバル企業が求めている人財は、
「オリジナリティを持つ人」 だそうです。
※一部の大企業は、そういう人間は要らないようですが、そういう企業は淘汰されていくので働く意味は無いですね。

 

しかし、「オリジナリティが大事」という言葉が一般的になった結果、学生が書いてくるESのどれもが

・僕(私)は、大学で新しいサークルを作って、~~~。
・僕(私)は、ボランティア活動をつうじて、~~~。
・僕(私)は、留学を通じて、~~~。

みたいな学生ばっかりになった。
と話していました。

 

それぞれの経験、活動が悪いと言っているのではなく、
「そういう人は、他にもいくらでも居るし、それはオリジナリティじゃないよ」
と面接をしながら思うそうです。

ちなみに、僕の解釈では「オリジナリティー」の原点は「自分らしさ」を出すことだと考えています。
「オリジナリティー=自分らしさ」とは何でしょうか???

うわべのオリジナリティではありません。
もっと根本にある「考え方のオリジナリティさ」 だと考えています。

 

・ある問題が発生した時に、他の人が思いつかないようなアイデアを生み出して 自分ならどのように対処するか?

・モノと情報があふれている現代、世間はどのような“モノ”を求めているのかを感じ取って、その“モノ”を、今までにない付加価値をつけてどのように発信していくか?

 

こういった「他との差別化」を生み出せる人間が「これからの時代に求められる“オリジナリティ”」です。

『他との差別化をつける』 事が、その人に価値を与えてくれます。

・差
・価値

このキーワードは、こちらの記事(理想の仕事を見つけた人達の6つの共通点とは?)読み返して頂ければと思います。

 

本来、大学とは「実社会で通用する人間を生み出す事」が目的です。
しかし、 一切、その役割・機能を果たしていません。

 

会社も、これからの社会もそういった人間を必要としています。
だからこそ、就職活動(エントリーシートや履歴書、そして面接)で 他の応募者が持っていない、「オリジナルの考え方」を ドンドン表に出した人間が勝ちます。

 

 

【風桶理論を使う際の注意点】

ただ、ここで注意したい事があります!!
この風桶理論を身につけると、就職活動において確実なメリットがありますが、 逆にデメリットもあります。

 

それは「◯◯だから△△ → △△だから□□」 という因果関係の流れを、きちんと組み立てる事です。
そうしないと簡単に理論を崩されてしまって、只の「こじつけ理論」に なってしまいます。

 

【僕の失敗体験・・】

実際、僕はアメリカでの就職活動で『風桶理論』を利用して、大失敗した経験があります。

世界屈指の外資コンサルティング会社の面接を受けた時の事です。

自分なりには、話の流れをきちんと組み話したつもりでした。
エントリーシートでは、それをしっかり組み込めていたと思います。
だからこそ、応募者300名超の中から、シカゴのホテルで行われた2次面接に進む事が出来た20名の中にも選ばれました。

でも、当日の面接官に簡単に見破られてしまい、 論破されてしまいました(笑)
面接後の食事会では、思いっきりダメ出しも頂きましたwww

 

【風桶理論を身に付けるには、練習あるのみ!】

風桶理論を身につけるには、 ただひたすら繰り返しあるのみです。

そして、自分なりに「これはイケル!」と思ったら 何人かの友人に話をしてみる事です。
その友人が納得してくれればOK。

納得してくれなければ、どこの話の流れが不自然だったかを、今度は、こちらが納得いくまで“素直”に聞く事です。

 

是非とも、この風桶理論を自分のものにして、 就職活動に活かして頂きたいと思います。

 

3.まとめ

ESの見出しの書き方に関しては、「目立つ事」という事だけがフォーカスされています。
そこで、ありもしない嘘などを書いてはダメです。

当たり前のことを言っているようですが、結構嘘を書いている学生が多いらしくビックリです(笑)

 

大切な事は、自分の経験をしっかりと書く事です。

その経験に裏打ちされた言葉が重みがあれば、文章にもそれは乗り移ります。
(信じてくれないかもしれませんが、これは本当です)

 

今回は、ESの文章構成の1例として『風桶理論』というものを紹介しました。

この理論は、何度も練習しないと、こじつけになってしまいます。
そこで、何度も練習していただきたいと思います!

 

また、この記事でも何度か出てきた
・オリジナリティ
・自分らしさ
・差別化
というのは、何でも付くることが出来ます。

 

ところで、、、

僕が作ったプライベート用の名刺があります。

ワシントンDC界隈では、そこそこ有名な名刺です。
(自分で言うのもなんですがw)目立つオリジナル名刺(黒い紙、つい裏を読みたくなる仕掛け。裏にも秘密がw)

見事に、他の人との差別化も出来ていますし、自分らしさも強調出来ています。
そして、何よりもオリジナリティに溢れた名刺です。

 

オリジナリティというのは、考え方1つで簡単に作り出すことが出来ます。

ただ、その為には「自分を知る事」(就職活動でいう自己分析)が大切です。
自己分析の1つの方法は、こちらの記事(自己分析の意外な方法とは?孫氏と自分のルーツを探る旅)に書いていますので、是非とも参考にしてみて下さい。

 

この記事が、キャリアフォーラムに向けてエントリーシートを書いている学生さんの役に立てば幸いです!

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