フレッド・コレマツ氏:大統領令と戦った日系人と強制収容の歴史

2017年1月30日(月)のGoogle検索画面のイラストであるDoodleに、ある人物が掲載されました。

この方は、フレッド・コレマツさん(日本名:是松豊三郎)です。

FacebookやアメリカのTwitterのトレンドには、Fred Korematsuの名前が載っています。
フレッド・コレマツさんは、1919年1月30日、米国に移民した日本人の両親のもと、カリフォルニア州オークランドに生まれた日系人です。
フレッド・コレマツさんは、1942年にルーズベルト大統領が署名した大統領令によって始まった、『日系人の強制収容』に対して人種差別だと訴えて従わず、逮捕され有罪判決を受けてしまいました。その後の事は後で詳しく説明します。

しかし、僕はこの画像を見るまで恥ずかしいことですが、フレッド・コレマツさんの事を知りませんでした。
「日系人の強制収容」に関しては日本の大学時代に学びましたが、フレッド・コレマツさんの事を学ばなかったのは、日本人として恥ずべきことだと思い、日系人の歴史、アメリカで行われた日系人の強制収容、フレッド・コレマツさんの話をまとめてみました。

 

【目次】
1.移民の国アメリカでの排斥運動
2.アメリカでの日本人への排斥運動とは?
3.大戦下での日系人の強制収容とは
4.フレッド・コレマツさんの戦い
5.まとめ

1.移民の国アメリカでの排斥運動

アメリカは言わず知れた「移民」の国です。

そもそも、移民とは誰の事を指すのでしょうか?
こちらの記事(アメリカ合衆国を、歴史的、地政学的に3つのキーワードで学ぶ )で、アメリカの歴史について書きました。

この記事の中にある「イギリス国教会の改革を唱えたプロテスタントのグループ(ピューリタンのメンバー102人)」がアメリカ大陸への入植者です。
その後イギリスとの独立戦争に勝利しアメリカ合衆国が成立して以来、アメリカに移り住んできた人たちの事を「移民」といいます。

 

【アメリカでの移民排斥運動の歴史~中国人排斥】

最初のアメリカへの入植者が来て以来、様々な国から移民が押し寄せてきました。
しかし、その流れの中で新しい移民がやってくる度に、アメリカ国内の社会構造は変化し、新旧の移民間での衝突も多く発生しました。

そして「移民排斥運動」が起こっていきます。
1880年代にアメリカで起こった移民排斥運動は、古くからの移民達が、異なる文化を持つ新移民達と衝突し、彼らを排斥する構造が出来上がりました。

当時は、大陸横断鉄道の完成後にアメリカに大量に残った中国人への排斥運動が特に激しく、連邦議会は1882年に、中国人に的を絞ってアメリカへの入国を禁止する「中国人排斥法」を成立させました。

 

【アメリカでの移民排斥運動の歴史~日本人排斥】

中国人がアメリカに来れなくなった事で、西海岸の農場経営者は、中国人の代わりに日本人労働者に目を向けました。
1890年代には約2000人程度しかアメリカに居なかった日本人は、1924年にはアメリカ本土に18万人、ハワイに20万人にもなっています。

当初、渡米した日本人は「出稼ぎが目的」でした。
元々の日本人気質もあったのでしょうが、どんなに辛い農作業でも熱心に働き、農家として成功を収める日本人も数多く出てきました。

 

2.アメリカでの日本人への排斥運動とは?

日本人の成功者が出てくると、今度はアメリカ国内で日本人に対する反発が生まれました。
そこで日本とアメリカの間で1907~08年に「日米紳士協定」が結ばれ、日本側が移民を送り出すのを自粛するようになります。

その後、アメリカの人口が1億人を超えたことで、アメリカでは移民制限がしかれます。

 

1924年には「緊急移民割当法」が制定されました。この法律は、別名「排日移民法」とも言われています。

 

法律の中に日本人移民を禁止するという言葉は入っていませんでしたが、「帰化不能外国人の入国を禁ずる」という条項が入っていました。
当時の帰化法では、アメリカ人になれる(帰化できる)のは「白人及びアフリカ人ならびにその子孫」と規定されていたため、実質的に日本人は入国できないことになったのです。(※先の中国人排斥法により、中国人は既に入国禁止になっていたので、帰化不能外国人=日本人の意味でした)

この「緊急移民割当法」により、新たな日本人の入国は禁止されました。
でも既にアメリカに住みついていた日本人間で生まれた日本人(日系アメリカ人)はアメリカ国民になれました。

 

次ページー>3.大戦下での日系人の強制収容とは

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください