「トランプ政権、H-1Bビザの優先審査を停止」の真実とは?

日経新聞(電子版)に、「トランプ政権」と「H-1Bビザ」に関する、このようなニュースが飛び込んできました。

「トランプ政権、専門職ビザの優先審査停止 米IT業界に懸念」

僕は、普段から正しいニュースの見方と、1つの情報に囚われない俯瞰的なものの見方に注意を払っています。

記事を読んでの僕の素直な感想は
トランプ政策決して100%賛成ではないですが、移民局の状況のくだりなどは、「なるほどね」と思うところはあります。

しかし、日経新聞のタイトルを見ると「優先審査を停止」となっているので、読み手によっては
「無くなっちゃうんだ」
と捉える人も居ますよね。

電子版という事で、文字数の制限、記事をクリックされるための工夫というものがあり、
「一時停止」ではなく「停止」と書いたのでしょうが。。。

ただ、
・専門職ビザの優先審査停止
・専門職ビザの優先審査一時停止

どうでしょうか?
この記事タイトルを見たときに、受ける印象ってだいぶ違いますよね?(笑)

そこから、トランプってやつは酷い奴だ!
という印象も与える事でしょう。

まぁ、これはコピーライティングの基本ですし、電子版の記事はクリックされて何ぼですから否定はしません。

要は、記事を読む時は
・読み手が如何に注意して記事を読むか?
・1つの情報に踊らされず、自分で裏を取るか?(興味があれば。ですが)
が大事ですね。

 

【目次】
1.記事を読むときの事例
2.H-1Bビザのシステムを悪用しているのは誰か?
3.H-1Bビザのおさらい
4.まとめ

 

1.記事を読むときの事例

記事を読むときの注意点

【記事を読むときの注意点】

・読み手が如何に注意して記事を読むか?
・1つの情報に踊らされず、自分で裏を取るか?(興味があれば。ですが)

この2つに関しては、とある事例があります。

2017年1月末に
「イギリスの有名シェフが、マクドナルドを相手取った裁判で勝訴し、『肉』の正体が判明した」
というニュースがネット上で話題になりました。

この記事では、
『イギリスの有名シェフが、マクドナルドを相手取って裁判を起こして勝訴。その裁判で、マクドナルドのハンバーガーに使われている「肉」の正体が判明したと書かれている』
と書かれていますが、実はそもそも、こんな裁判など起きてはおりませんでした。
これは、トルコ発で世界中に出回った偽情報だったのです。

まぁ、僕はこの2年間くらいはマックに行っていないので、問題ないのですが(笑)

ポイントは、今は誰もがインターネットを利用して情報を拡散できる時代なので、
その情報が本当か嘘か、またクリックをさせる為に情報を一部削除(編集)していないか?
などの目をもって、ニュースを見ないと駄目だという事です。

 

2.H-1Bビザのシステムを悪用しているのは誰か?

H-1Bビザのシステムを悪用しているのは誰か?

日本経済新聞の電子版記事では
「経営への打撃が避けられないIT業界からは、『世界中が優秀な人材の獲得にしのぎを削っているときに、米国生まれという縛りを自らかけてイノベーションにブレーキをかける意味がわからない』(米ボックスのアーロン・レビー最高経営責任者)などと反発する声が上がっている」
という発言が載っています。

確かに、こういう一面はあります。

海外からアメリカに留学に着て大学で勉強をし、自分のスキルを高める。
その知識、経験をアメリカのIT企業で活かそうという人は多く居ます。

しかし、そう言うアメリカで頑張って勉強した人達を雇わなかったのは、
H-1Bビザの応募資格の穴をついて利用しているインフォシス、タタ、ウィプロといった今もインドを拠点としたアウトソーシング企業です。

アメリカの企業は、優秀な人材には正当な賃金を支払っています。

その一方、H-1Bビザを最も利用していますインド系アウトソーシング企業は?というと。。。

MyVisaJobsの調査によると、
・タタやウィプロのビザ利用者の平均給与は年間7万ドル(約780万円)以下。
・Amazonではビザ利用者の平均給与は12万1,850ドル(約1,450万円)を超えています。

H-1Bビザの応募数と平均給与
※LCAというのは、各会社がどれだけH-1Bビザを申請したか?という数字です。
こちらを見ると、AppleやGoogle、Facebook、IBMといった企業で働くH1-Bビザ労働者の平均年収の多くが10万ドルを超えています。

H1-Bビザの問題は、AppleやGoogle、Facebook、IBMといった企業に問題があるのではなく、
インフォシス、タタ、ウィプロといった今もインドを拠点としたアウトソーシング企業にあるのです。

また、こちらのグラフをご覧下さい。
こちらは、各IT企業がどれだけ、海外の優秀な人材を採用しているか?
を表しています。
各IT企業がどれだけ、海外の優秀な人材を採用しているか?

実は、H-1Bビザのこういったインド系企業による申請問題は、
以前からありました。

トランプ政権になってから、トランプが表面化させたので、
いかにも「トランプの移民政策による優秀な人材の流出」という風にマスコミの報道により受け取られがちです。

しかし、そうではなく、今まで問題をほったらかしにしていた前政権の後処理をしているに過ぎません。
今まで何もしてこなかった結果、本来優秀な人材を雇いたい(雇うべき)企業が、システムを悪用している一部の企業によって、人材流出というマイナスを受けているのです。

ただ、あらかじめ断っておきますが、僕はトランプ支持者ではありませんよ(笑)
これは、特にワシントンD.C.という土地柄もあり、断言しておかないといけません

 

3.H-1Bビザのおさらい

H-1Bビザのシステムを悪用しているのは誰か?ところで、ここでH-1Bビザのおさらいをしておきましょう。

【H-1Bビザとは?】

アメリカのH-1Bビザは、非移民労働ビザです。
グリーンカードを保持していない外国人でもアメリカ国内で労働できる就労ビザです。

留学後にそのまま現地で就職する際などには
①OPTという研修用に使うことができるビザを1年取得
②OPT後に、H-1Bビザに切り替える
というパターンが多いです。
僕も、そうやってアメリカに残りました。

ビザに関しては、こちらのインタビューが参考になると思います。
(アメリカの人材派遣会社で働いている方とのインタビューです)

【H-1Bビザの発給数】

1年間に発給できるH-1Bビザの数は6万5000枠。
(※2016年は募集開始から5日間で約23万の応募がありました)

 

【インド系企業のH-1Bビザ申請は、数打てば当たる戦法】

H-1Bビザを使えば、企業は専門スキルを持つ人材を国内で見つけられない場合に、海外から募集する事が出来ます。
ほぼすべてのIT企業が、この制度を使って世界中から人材を雇用して、米国に連れてきています。

特にインド系企業は、この「海外から募集する事が出来る」という制度を使って、大量のビザ申請をしています。
インフォシス、タタの2社だけで、2016年は3万8,539件ものビザ申請をしています。
全体の応募が6万5000件。これに対して2社だけで半数以上の申請をしているのです。

「数打てば当たる」
という感じですね・・・

 

4.まとめ

今回のこの日経新聞の「トランプ政権、専門職ビザの優先審査停止 米IT業界に懸念」という記事

・記事タイトルを素直にそのまま受け取ってはいけない
・H-1Bビザのシステムを悪用しているのは誰か?

という事を、冷静に判断して読んでいくことが大切ですね。

 

元々、アメリカは移民の国です。

トランプ大統領の祖父は、ドイツからの移民。
メラニア夫人は、スロベニアからの移民。

トランプ大統領が守ろうとしているアメリカ人って一体誰なのか?
元々住んでいたのは、ネイティブアメリカンの人達です。

まぁ、その議論は今回の記事には関係ないので、またの機会に話したいと思います。

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