TPPを語る前に、まず年次改革要望書の存在を知るべき

TERUです。

2016年11月17日は、ある意味日米関係の将来を決める大事な日になりそうです。

トランプ氏と安倍首相の初会談、準備段階で混乱 詳細決まらず (ロイター 2016年 11月 17日

こちらの記事によると、

「トランプ氏にとって外国首脳との直接会談は初めて。しかし、トランプ氏や顧問らはここ数日間、NYトランプタワーで新政権の人事のための会議に追われているため、日本政府関係者はロイターの取材に対し、17日に予定されているトランプ氏と安倍首相の会談はいつ、どこで、両氏以外の誰が出席するのかも分からない状態だと述べた」

との事。
※毎回、こういう記事を見て思うのですが、関係者って誰なんでしょうか?笑

 

昨日は、こんな報道もありました。。。

米首都およびNY、学生たちが授業欠席し「反トランプ」デモ

米NY高級マンション「トランプ」を外すことを決定、署名活動受け

米首都ワシントンの連邦議会議事堂前で、次期大統領に選出されたドナルド・トランプ氏に抗議する学生たち。
米首都ワシントンの連邦議会議事堂前で、次期大統領に選出されたドナルド・トランプ氏に抗議する学生たち。

 

米ニューヨークの高級マンション「トランプ・プレース」で、建物正面に掲げられていた文字を取り外す作業員。
米ニューヨークの高級マンション「トランプ・プレース」で、建物正面に掲げられていた文字を取り外す作業員。

 

1つの情報だけからだけでなく様々な情報を見ていて見えてくる事。
それは、この反トランプの運動がアメリカ国内で高まる中、敢えて日本政府もアメリカ政府も情報を出さない様にしているだけな気がしますが。。。
全ての情報は事実であっても真実ではない。という目で見るほうが良いですね。

 

さて、今後どうなっていくのか全く同行が見えないTPPに関して僕なりの見解を。
※TPPとは何か?に関しては、さすがに書きません(笑)

それは調べてくださいwww

 

【目次】
1.トランプ政権は2つの爆弾を抱えている
2.TPPが批准されるには?
3.そもそも、日本にとってTPPは得なのか?
4.年次改革要望書とは?

 

1.トランプ政権は2つの爆弾を抱えている

こちらの記事は読んで頂けたでしょうか?
アメリカ合衆国を、歴史的、地政学的に3つのキーワードで学ぶ
トランプ大統領の「同性愛と不法移民」について驚きの発言とは?

の2つの記事を見ていただけると、今回の記事がより理解しやすくなります!
読んでいただいたという仮定で、記事を進めますね。

 

さて、今度の政権には爆弾が2つあります。

それは、
①ペンス副大統領の存在
②トランプと共和党の思想との間では意見の相違がある

です。

 

ある意味、「トランプ vs ペンス+共和党本部」と言う構図です。
これをトランプが、どう処理、調整していくのか?
そこが、次期政権の一番の課題です。

巷では、政治の素人で差別主義者がアメリカ大統領になるなんて、この国はどうかしてる!
という声がチラホラですが、実際に彼を大統領に選んだのは国民です。

また、皮肉にも彼の人気を作ってしまったのはマスコミであり、共和党でもあります。

 

トランプが、
仮定1)ペンスを上手にあしらうことが出来て、
仮定2)共和党内部とコネクションを作ることが出来れば、
10年後には、「何だかんだあったけど、トランプは悪い大統領じゃなかったよね」というのがアメリカの世論だと思います。
※ただし、DC、NYC、LAに関しては10年後も否定的でしょうね。

 

2.TPPが発行されるには?

トランプは、選挙中から「TPP反対!」という事を掲げていました。
これは、共和党の意思には反しますが、職を失った中間階級の労働者達の票を集め、政権を取る為に黙認されました。

もし、このままアメリカが「TPPを抜ける!」と言ったら、どうなるのでしょうか??

【TPPのシステム】

・TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)協定は2016年2月に各国が署名しました。
・署名から2年以内に参加する12の国すべてが議会の承認など国内手続きを終えれば発効します。
・2年以内にこうした手続きを終えることができなかった場合には、(12か国のGDP=国内総生産の85%以上を占める少なくとも6か国が手続きを終えれば)その時点から60日後に協定が発効する仕組みになっています。
・日本のGDPが17.7%、アメリカが60.4%と、この2国だけで加盟国の全体の78%に達するため、アメリカが拒否したら、TPP協定は発効のめどが立たなくなります。

このTPPのシステムを見ても分かるように、アメリカが抜けたら、発行の目処がたたなくなり消滅するという事です。

 

3.そもそも、日本にとってTPPは得なのか?

僕は、日本がTPPへ加入する事は、プラスの面もあるが、マイナス面の方が大きい。
だから、日本は参加しないで、東南アジアの国々とはアメリカ抜きで自由貿易を行えばいい!
というのが、基本的なスタンスです。

【3-1.TPPの日本にとってのプラス面】

過去の日米の貿易の歴史において、貿易摩擦が起きれば起きるほど、日本は技術革新で乗り越え、日本の競争力は強くなってきました。
日本の各産業は「技術力」「競争力」「意欲」「変化に対応する力」は持っている!!と僕は信じています。
そういった意味では、TPPが日本の各業界に活力を与えるかもしれない。というプラスの面は考えられますね。

例えば↓↓↓

(例1)自動車産業
日本の自動車メーカー

厳しいアメリカの環境規制を乗り越えないと輸出できないという事で、各メーカーが切磋琢磨する中で技術を磨いてきた。
その結果、「ジャパンブランドの自動車=安全である」というブランドを作り上げ、世界に通用する一大産業となりました。

 

(例2)農産物(野菜)
日本の野菜

日米間の摩擦が生まれたことにより、日本の農家は果物だけでかくブランド牛や新種を作り出してきた。
その結果、「日本の農産物=世界で一番美味しく、かつ安全である」というブランド化が確立しました。

先日マンハッタンで、日本から来た食(特に野菜)のエキスパートの方々と色々な料理を食べました。
皆さんが口々に仰っていたのが「野菜の味がしない」でした。
そうなんです!
農家直のファーマーズマーケットで野菜を買ったりすれば、そこそこ美味しい野菜を食べることは出来ます。
しかし、日本の”ジューシーで美味しいトマト”、”甘くて美味しい人参”を知っている人間からすると、アメリカの野菜を買うと「えっ?」ってなってしまいます。
特に僕は日本で働いてる時には、農家さんにも直接行って、その場で美味しい野菜を食べさせてもらっていたので、その違いはよく分かります。(それだけ、日本の野菜農家の皆さんは、技術革新を進めてきたんですね!)

 

(例3)農産物(米)
日本の米

TPPが発行されたら、アメリカ&オーストラリアから年間約8万トンのお米が入ってきて、農家に大ダメージを与える。という報道があります。
吉野家やバーミアンなどの大手格安チェーン店での外国産米の使用量は増えるでしょう。

でもね。。。
正直な話、カルフォルニ米は、日本の米に比べると「美味しくない」んですよ!

 

大手格安チェーン店では、最初は外国米を使用するでしょう。
牛丼やチャーハンにしてしまえば、米の差はそこまで分かりません。

しかし、白米を食べ比べたらどうでしょうか??

 

よく、「ブラインドテストをしたら、日米の米の違いなど分からない」という人がいます。
本当にやったことあるの?って言いたくなります(笑)

実際に、日米の米のブラインドテストをしてみた。というニュースを見かけますが、
日本の米とアメリカのカルローズ米(中粒米)を食べ比べて、「差がない」という人の味覚はどうかしてます!!
普段、殆ど米食を食べてない人をテスト被験者にしてるとしか思えない結果です。

 

僕は、アメリカでしょうがなくカルフォルニア米を食べています。
社会人になってからは、アメリカでも一番美味しいといわれる「田牧米ゴールド」を食べています。
この米は、伊藤忠商事がバックについて作っているカルフォルニア米なので、普通に美味しいです。

でも、滅茶苦茶値段が高いので、そう簡単には買えません。
同じ価格帯の日本米に比べたら、相手にもならないという感じです。

 

実際に日米の米を食べ比べると

・お米の匂い
・口に入れたときの食感
・鼻に抜ける風味
・旨み
・お米のつや

が、日本のお米とは全然違います。

【3-2.TPPの日本にとってのマイナス面】

TPPが、もしこのまま実行となったら、、、
(まぁ、トランプは本気でTPPを潰そうとしているので、無いとは思いますが)

日本は「国際金融機関」に、まさに骨の髄まで食い潰されるでしょう。

日本国内ではTPP=日米間の農業、工業の話のように報道されていますよね。
でも、実際のTPP(というか、オバマさんを使ってTPPを推進していた、国際金融機関)の一番の目的は

「日本の金融サービス」
です。

 

実は、日本の「金融サービス」は、昔からアメリカの国際金融機関に狙われ続けてきたのです。

それを語るには、
「年次改革要望書」
に関して説明しなくてはなりません。

 

 

4.年次改革要望書とは?

「年次改革要望書」
と言う言葉を聞いた事があるでしょうか?
日本のマスコミでは、殆ど報道されないので、知らない方も多いと思います。

 

「年次改革要望書」は昔の名前を「日米構造協議」と言います。

アメリカは長い間、対日貿易赤字が一向に改善されない事に痺れを切らしました。
それは、自分達のサービス、モノの質に問題があるのではなく「日本のシステムが悪いのだ」という、
まるでジャイアン的な理論です(笑)

 

それだったら、、、

「日本の経済、社会構造そのものを、アメリカにとって都合のいいものに改造してしまえばいいんじゃん!」
と「日本の構造改革」に着手したのです。=「日米構造協議」

つまり「日米構造協議」→「年次改革要望書」→「TPP」という流れがあるわけです。

しかし、この「年次改革要望書」は、2009年に廃止されました。
”あの”政党が、却下したからです。
(これだけは、評価されてもいいかもですね)

 

【4-1.日米構造協議とは?】

「日米構造協議」とは、1989年に始まったアメリカが日本の内政に踏み込み、日本の法律や制度をアメリカの都合のいいように「改革」させる事に大成功したフレームワークです。

一番の成功例は「大規模小売店舗規正法の改正」ですね。
世界最大の大規模小売店舗と言えば「ウォルマート」です。
世界最大の小売店舗ウォルマート

ウォルマートを初めとした、大手流通企業は「日本進出をしたい」という意向をアメリカ政府に伝えました。
その結果、日本政府に『大規模小売店舗の出店規制を緩和するように』という圧力をかけました。
しかし、日本の顧客のレベルの高さについていけず、殆どの日本国内の店は軒並み業績悪化していますよね。

 

「日米構造協議」は、当初は2年間という期限付きでした。
しかし、日本の政治家(官僚)は完全に外交交渉で負けたのでしょう。

「日米構造協議」は「日米経済包括協議」と名を変えます。

その後1994年には「年次改革要望書」という名前に変わりました。

 

「年次改革要望書」は、1994年から2008年までの間、”毎年”日米首脳会議で、アメリカから提出されました。
その内容は「要望書」ではなく「命令書」でした。

 

【4-2.年次改革要望書の中身とは?】

年次改革要望書の中身は、在日アメリカ大使館のホームページで公開されています。
日本から米国へも同様に年次要望書が提出されていますが、日本政府は公開していないようです。。。

その内容は、
「通信、IT、エネルギー、医療機器・医薬品、金融サービス、競争政策、透明性及びその他の政府慣行、民営化、法務制度改革、商法、流通」
とあらゆる分野にわたっています。

特に注目すべきは、
「金融サービス」
です。

ここまで説明してきて、
実際のTPP(というか、オバマさんを使ってTPPを推進していた、国際金融機関)の一番の目的は
「日本の金融サービス」
なのです。

という説明にたどり着きました。

 

「郵政民営化」
という言葉を覚えていますか?

〇泉さんが主導となって、構造改革の本丸として〇泉政権の最大の功績と語られるものです。
実際に、郵便局を使っている人間からしたら、「サービス」が良くなった!と喜んでいる方も多いようです。

そういう面では良かったのでしょう!

しかし、国際金融機関が狙ったのは、日本郵政全体で持つ「292兆円もの総資産」です。

 

これは決して陰謀論とかではなく、市場の原理を見ていたら明らかな事です。

ここでは、その理由、詳細は省きますが、TPPの大きな目的の1つは、
「完全なる郵政のかんぽ生命とゆうちょ銀行の民営化」
です。

ただ、国際金融機関のことが大嫌いなトランプが、彼らの利益になるような事を黙って見逃すはずがありません。

 

僕は、元々
・TPPへの参加は、アメリカが参加しないのであれば〇
・TPPへの参加は、アメリカが参加するのであれば×
と言っていたので、今の流れであれば、アメリカはしないので、このままでOKだと思います。

まぁ、元々アメリカが急に「うちもTPP参加しまーす」と言ってきたのは、2010年の事でした。
TPPにおけるアメリカの標的は今まで述べてきたとおり、一貫して日本です。

また、2008年9月にリーマン・ショックが起きて、この時を境にアメリカ経済は急下降。。
長期低迷に喘ぐことになりました。その結果、オバマさんは景気回復のためにTPP参加表明をしました。
この時期に、日本の政党も変わって「年次改革要望書」が破棄されたのも、TPP参加の理由の1つでしょう。

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【TPPに関する追伸情報:ブログアップデート】

トランプ大統領は20717年1月23日に、「TPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱するための大統領令」に署名しました。トランプ TPP交渉から永久に離脱する大統領令

この署名により、TPP協定は発効のめどが立たなくなりました。

トランプ大統領が署名したTPPに関する大統領令には、「アメリカがTPP交渉から永久に離脱することを指示する」と記されています。

そして「アメリカの産業の発展を促し、アメリカの労働者を守り、アメリカ人の賃金を引き上げるために、可能な限り二国間貿易交渉を進めていく」として、今後の方針が説明されています。

 

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