TERUです。
前回、前々回のブログでは、
と、2016年の大統領選挙に関して、僕なりの考察を書かせてもらいました。
今回は、トランプが選挙期間中にずっと言っていた「不法移民を追い出す発言」に関して。
僕が考えるアメリカ国内のレストラン業界に与える影響に関して、
自分なりの考察を書いていきたいと思います。
【目次】
1.アメリカの不法移民って、実際どれくらい居るの?
2.労働者の20人に1人を占める不法移民は、アメリカになくてはならない労働力
3.もしトランプが本当に彼らを強制帰国させたら、どうなるのか?
4.アメリカの日本食レストラン業界の現実は?
5.もし僕がトランプ政権の移民政策担当者に任命されたら、どうするか?
1.アメリカの不法移民って、実際どれくらい居るの?
- 国土安全保障省によると、アメリカの不法移民はおよそ1140万人(2012年1月時点)
不法移民の定義ですが、「違法な手段でアメリカに入ってきた人達」「ビザが切れている人達」としています。 - 一番数が多いのは約600万人に上るメキシコ人。エルサルバドル、グアテマラといった中米諸国に続き、インド、中国といったアジア諸国からの移民。特にインドとブラジルからの不法移民はこの10年で急増している。
- 女性より男性の方がわずかに多い
国土安全保障省によると、53パーセントが男性、47パーセントが女性。 - ほとんどの不法移民は限られた州に住んでいる
4分の3以上が比較的大きなカリフォルニア、テキサス、フロリダ、ニューヨーク、イリノイ州に住んでいるが、どの州にも不法移民は住んでいる。 - 不法移民は農場、レストラン、工事現場等で働く傾向がある。
- 国土安全保障省のデータによると不法移民のピークは2007年。
独立調査機関のPew Research Center 調べでは1130万人となっています。
※上記情報は、トランプが「不法移民は実際には3000万人以上いる!」と発言した事に対する反論の記事と他の記事から抜粋しました。
こちらのグラフは、2016年11月3日の最新データです。
2009年をピークにメキシコからの不法移民の数は減りつつあります。
トランプにコネクションがある方は、このデータを彼に送ってあげて下さい。「勉強してください」と(笑)
2.労働者の20人に1人を占める不法移民は、アメリカになくてはならない労働力
トランプ氏が発言どおりに全ての不法移民を追い出したら、
アメリカの経済は成り立たなくなってしまいます。
この写真をご覧下さい。
この写真は、今日家路につく途中で見かけた洗車場(カーウォッシュ)です。
こういう場所で働いている9割はヒスパニック系の人達です。
また、他にも
・レストランでの皿洗いの人
・キッチンで働くシェフ
・ホテルのルームキーパー
・オフィスの掃除をする業者の人間
・街で芝を刈ったり落ち葉を掃除する人達
・道路工事や建設現場での肉体労働をする人達等々。。。
色々な場でヒスパニック系の人達は働いています。
というか、トランプ自体ホテルも持っています。
彼のホテルで働いているルームキーパーや掃除人、キッチンの皿荒いの人間が全て正規の労働者なのか?
を、何故誰も選挙中に突っ込まなかったのか?が凄く不思議です。。。
3.もしトランプが本当に彼らを強制帰国させたら、どうなるのか?
今、不法移民達が従事している仕事は賃金がとにかく安く、重労働な仕事です。
そのような仕事に米国人たちが好んで仕事につくかといえば、僕の答えはNOです。
上に上げたような仕事の殆どは、不法移民と呼ばれる人たちが、
法律で定められた最低賃金をはるかに下回る時給で、文句も言わずに真面目に働いているのが現実です。
以前、僕が引越しをしたときの話です。
Uホール(レンタルトラック)のオフィスの前に居たヒスパニック系の人達を雇って引越しをした時、
彼らと話した事があるのですが、彼らはこう言いました。
「母国の家族たちに仕送りをする為働いてる。
地元で一生働いて稼げる給料がアメリカでは1年~2年で稼げる」
と。
彼らは、アメリカになくてはならない労働力であり、アメリカ経済の根幹を支えているのは1つの事実です。
僕は、
今のアメリカの姿は、将来(僕は10年後と見ています)の日本の姿
だと、思っています。
2025年の日本の姿を予想してみた
今は2016年。
約10年後の日本の姿を勝手に予想してみました。
・昔の3Kと言われた仕事、単純労働は移民に取られる
・日本人の失業率は上がる
・職を奪われた人達が国会の前でデモ
「移民をこれ以上入れるな!」
「日本人に仕事を与えろ!」
とプラカードを持ってデモッぽい事をしている姿
が目に浮かびます。
4.アメリカの日本食レストラン業界の現実は?
僕は、仕事柄レストラン業界との繋がりも強く、
一般の客が入らない裏口からレストランに入ることが多いです。
その僕が見た限り、ほとんどのレストランの
・キッチンで働いている人間
・皿洗いをしている人間
は南米からの移民の人達です。
【不法移民への給与体制】
彼らの給料は、現金か小切手(チェック)のどちらかです。
アメリカには、何故か銀行に行かなくても小切手を現金化してくれる場所が、街中の所々にあります。
彼らはそこで小切手を現金化して、母国の家族に送ったり生活費の足しにしているようです。
正式なビザを持っている移民の人は、ソーシャルセキュリティー番号を持っているので、銀行口座も作れます。
しかし、不法移民はそもそも滞在許可を持っていないので、銀行口座・免許証などは持っていません。
現金で払う場合は、オーナーが彼らの分を自分の給料として貰ったとして現金を渡す。
その彼らに払った分の税金は、自分で払っているというのが現実です。
でも、最近は現金で支払いをする人も少なくなってきている(クレジットカードでの支払いが殆ど)ので、お金の流れがデータに残ります。そこで、不法移民(=ビザもSSNも持っていない)の人達に、現金で給与を上げることが出来る店も、都市部では減ってきているようです。
という事は、今後不法移民が都市部を離れていく事は容易に予想出来ます。
そうなった時に、不法移民が流れ込んでくるエリアのアメリカ人や正規移民の人達は、彼らをどう扱うのか?
そこが、今後の課題になるでしょう。
【不法移民が一斉に強制帰国になったらどうなるか??】
凄く非現実的ですが、”もし”レストランで働く不法移民の彼らが、
強制帰国させる法案が可決されたとして。。。
(僕はほぼ100%無理だと思っていますが)
・レストラン業界は、大変な痛手をくらう
・正規の労働ビザを持っている人たちを雇うしかなくなり、当然雇用側は、法律で 定めた最低賃金を支払わなければいけなくなる
・多くのレストランが潰れる
・雇用主が首が回らなくなり、仕事を失う
そんな損失と、大量の労働力の穴埋めと雇用側の人件費を、トランプは果たして考えているのでしょうか?
そして、こんな事でアメリカの失業率問題が解消されるとは思えません。
不法移民が居なくなって、アメリカ人が彼らと同じ条件で、同じ場所で、同じ待遇で働くでしょうか?
答えは先程述べたとおりNOです!
【不法移民に適応されないルールとは?】
不法移民の労働に関して、アメリカ人もあまり知らない、アメリカが抱える現実があります。
それは
『不法移民には、最低賃金や週休2日、8時間労働のルールは適用されない』
という事です。
そして、すでにアメリカの建設業界、道路工事現場、農場では不法移民なしでは成り立ちません。
本来なら法律を改正して現状に合わせるべきですが、
企業は搾取の構造を温存したいので、
彼らのステイタスを”不法”のまま留めておきたいとしているのが本音です。
僕が知っている限り、レストラン業界での待遇は悪くは無いですが、
レストラン業界で働いているキッチンや皿洗いの人間の5~6割は不法移民です。
(もちろん、正規移民しか雇っていないレストランも数多くありますよ!)
これらの事は、企業トップのエリート達は、この事は分かっているはずです。
しかしながら、彼らは、ことあるごとに
「CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)」
「Good Corporate Citizenship(良き企業市民)」
を口にして、地域のNGOや大学に寄付をする「社会貢献」をします。
全ての業界や企業が不法移民を雇って搾取しているわけではないのですが、
右手でいいことをしながら左手で悪事を働くような欧米の二枚舌外交的な事をしているのを見ていると、
「どうなん、それ?」と思ってしまいます。。。
5.もし僕がトランプ政権の移民政策担当者に任命されたら、どうするか?
あまり考えたくは無いですが、、、
もし僕がトランプ政権のブレインで、この不法移民対策を指示されたら、、、
工事現場や、農場、レストラン全部に移民局や国土安全保障省の人間を派遣する事は無駄なので、、
小切手を現金に変える店に
「今後、小切手を現金に変える場合には、社会保障番号(SSN)と身分証明を提示させることを義務化する!!」
という法律をトランプに提案します。
そうする事で、給料を小切手でもらっても、
彼らは現金化することが出来ないので路頭に迷います。(凄く性格悪いですが。。。)
現金での給与は、先程述べたようにオーナーの負担が増えるのでオーナーは基本嫌がります。
もし、こういう法律がもし出来たとしても、、、
その不法移民を集めて、多くの手数料を取って小切手を現金化する闇金のような裏ビジネスが出来るでしょうから、
いたちごっこで終わるのは目に見えていますが。。。
トランプは、実際のところ何も分かっていないし、分かろうともしていません(残念ながら)。
今後、彼の周りにどのような人間が集まり、この不法移民問題に対してどのような対策を講じていくのか?それは見ものです。
★毎週月曜の【アメリカ通信】
他の誰でもない、アメリカに住んでいるTERUだから語れる
マスコミが伝えないアメリカの姿を一般人の目線で語っています
★毎週金曜の【QOL MIND】
人生の質を向上させる音声をお届けしています
・マインドセット
・時間管理術
・セルフコントロール
等々を、TERUがオンラインサロン(無料)で語っています。
1件のコメント