トランプ大統領の不法移民政策とアメリカのレストラン業界の未来

TERUです。

今、アメリカの一部では、この話題が盛り上がっています。

【米セブン-イレブン、一斉摘発=不法入国容疑で従業員21人逮捕】

米コンビニエンスストア大手セブン-イレブンの店舗を対象に、移民税関捜査局(ICE)の一斉摘発が10日行われ、不法入国の疑いで従業員21人が逮捕された。
米メディアは、トランプ大統領の就任以降で最大規模の不法移民摘発だと伝えている。

報道によると、一斉摘発の対象となったのは首都ワシントンのほか、ニューヨークやカリフォルニアなど17州にある98店舗。
ICEは不法入国したとみられる従業員を逮捕するとともに、店主らに対し、従業員が適正に入国したことを証明する文書を3日以内に提出するよう命じた。

ICEは声明で「違法な労働力を雇用している米国の事業者に強いメッセージを発するものだ」と警告。
一方、米セブン-イレブンは、摘発されたのはいずれもフランチャイズ店で、雇用に関する責任は店主らにあると説明した。

同社は日本のセブン-イレブン・ジャパン(東京)の完全子会社で、米国で8500店のコンビニを展開している。
(時事通信:2018/01/11-10:01 / リンク

 

ちなみに、この時事通信の記事では書かれていませんが、、、
移民税関捜査局(ICE)に逮捕された人達は、家に帰されることも無く、その場で強制送還らしいです。。。

 

以前、不法移民に関して記事を書きました。

トランプ大統領による不法移民政策。レストラン業界への影響は?

【記事内容】
1.アメリカの不法移民って、実際どれくらい居るの?
2.労働者の20人に1人を占める不法移民は、アメリカになくてはならない労働力
3.もしトランプが本当に彼らを強制帰国させたら、どうなるのか?
4.アメリカの日本食レストラン業界の現実は?
5.もし僕がトランプ政権の移民政策担当者に任命されたら、どうするか?

 

トランプ政権は、今回手始めにセブンイレブン(特にフランチャイズ店舗)を標的にしました。

トランプ大統領の不法移民政策とアメリカのレストラン業界の未来
https://www.nbcnews.com/news/us-news/immigration-agents-raid-7-eleven-stores-nationwide-arrest-21-people-n836531から写真を抜粋

とある方に聞いた話なのですが、次標的にされるのは、
・カーショップ(車のメインテナンスなどを行う店)
・レストラン
らしいのです。

それは何故か?
「安いローカルのカーショップで働いている人、レストランの皿洗いやキッチンで働いている人の多くは、南米系の人が多い」
※その人達の全員が不法移民であるとは言いませんが、怪しい人が多いのは確かです。
※下記に例を挙げています。

 

【カーッショップの例】

DC界隈のとあるカーショップでは、いつもなら20人近くの人が居るとの事ですが。。
一気に人が居なくなったようです。
何故でしょうか?
彼らが”正規の”就労ビザなり、永住権なりを持っていないから、オーナーが彼らを首にしたようなのです。

オーナーは、何故首にしたのか?

(これは、きちんとした裏づけを取っていない話なので、100%真実ではない事を先に言っておきます)
理由=「不法移民を雇っていて、それがバレた場合は一人当たり ”5万ドル(約550万円)の罰金”  が発生する」
らしいのです。

 

【とある日本食レストランの例】

とある日本食レストランが、寿司バー(店内にある寿司カウンター)を撤去し、シェフも首にしました。
その首になったシェフは、エルサルバドル出身。
DC界隈で16年間、寿司シェフとして働いていたのですが、実は就労ビザも永住権も持っていなかったのです。。。
これは、彼が首になった後、別のレストランで面接をした際に判明したようです。

もし、移民税関捜査局(ICE)が、いきなり現れてシェフの身元確認をされたら、、という事で首にしたのかもしれません。
(オーナーに確認は取っていないので、何とも言えませんが)

 

【洗車場(カーウォッシュ)の例】

うちの近くの洗車場(カーウォッシュ)は、機械での洗車の後に手作業で拭いてくれるということで、いつも大盛況なのですが、、、
先日通ったら、いつも2列で一杯の車の列が1列になっていて、外で車を拭いている人達も半分くらいに減っていました。
その時は何とも思わなかったのですが、もしかするとオーナーの意向かも知れませんね。

 

さらなる問題が実はあります。

【永住権(グリーンカード)は偽造できる】

これは、つい先日知ったのですが、永住権(グリーンカード)は偽造できるようなのです。
レストランなどで働いている人の中で、グリーンカードを持っている人も居ますが、”アメリカって偽グリーンカード(偽造カード)を1000ドル以下で作成できる” のです。
そういう闇業者はいるようです。
日本語で言うと、ニンベン師ですね。

この偽グリーンカードの存在は、周知の事実です。
そこで、レストランのオーナーは、そういった人達を雇うときには
「個人の責任だからね。レストランとしては責任を問わないよ」
という覚書は交わすという噂も聞いた事があります。

ただ、この覚書も移民税関捜査局(ICE)には通用しないでしょうね。
そうなると、これから怪しい従業員がどんどん首を切られそうです。

 

【仕事を追われた不法移民の人達は、どこに逃げるのか?】

アメリカ人の人達がやらない仕事。
それは、ゴミ掃除などの仕事です。

最近、DC界隈でよく見る風景があります。
オフィス街に少し大きめのヴァンが止まっていて、中から一目で南米系と分かる女性達が7~8人出てきます。
その手に持っているのは、掃除機やゴミ袋。

どうやら、オフィス掃除の会社がそのビジネスビルと掃除契約を交わしているらしいのです。
去年は、そこまで見かけませんでした。
ただ最近は、ちょっとDC内を車で走らせると、そういった車を頻繁に見るようになりました。

 

【トランプ政権の意図は?】

この不法移民への対策ですが、トランプ政権としては
「中西部などの忘れられた人々の職を生み出す」
という意図はあるのでしょう。

トランプ大統領は、2017年1月20日の就任演説で、こう述べました。
「The forgotten men and women in this country will be forgotten no longer.(この国の忘れられた人々が、これから先、忘れられることはもうない) 」

特に、2018年は11月に中間選挙を控えているので、年内はこの「不法移民対策」は行っていくと思いますね。

 

ところで、、、
先ほど例に挙げた、カーショップ。
一人5万ドルの罰金を払うなら、時給が倍以上になったとしても、アメリカ人のメカニックを雇う。
という選択肢を取るという事も考えられます。

今後は、ローカルの安いカーショップが淘汰されていくでしょう。
そうなると、利用していた人達は、少し高めのカーショップを利用せざるを得なくなります。
それは、大手は儲かり、中小(というか個人企業)は潰れていく。という事を意味しますね。

中小が生き残るためには、アメリカ人の”優秀なスタッフ”を雇い、(値段ではない)他との差別化を図ること。
それは
・サービス向上
・顧客満足度をあげる
・メカニックの技術紹介(SNSなどを利用)
など、色々と考えられます。

トランプ政権が、ここまで考えているかどうか?は分かりませんが、アメリカにお住まいの方は、家の近くのカーショップの動向を探っていくのも面白いかも知れませんね。

 

【今後のアメリカのレストラン業界への影響】

僕は、下記が考えられると思っています。

・ホテルに入っているようなレストランは、あまり強制捜査は入らない
(こういうレストランは、身元確認がある程度シッカリしているので)

・チェーン店(NOBUやMORIMOTOなどの大手)、ミシュラン獲得店には、見せしめのために強制捜査が入る

・大きな都市(NY,シカゴ、アトランタ、DC、マイアミ、ヒューストン、LA、サンフランシスコ)などの店にランダムに強制捜査を行う。

 

トランプ政権のレストランへの移民政策の結果として考えられる事①
チェーン店のマネージャー、個人オーナーは従業員の永住権などの裏づけを取らざるを得なくなり、怪しい従業員はレストランを去る。

皿洗いや、キッチンの人が居なくなる店舗が出てくる。

人員を補充するためにアメリカ人を雇うが、人件費が経営を悪化させる。

メニューの値段を上げざるを得なくなる + ウェイター、ウェイトレスの人員整理を行う

サービス低下により、客が離れる

店が潰れる
トランプ政権のレストランへの移民政策の結果として考えられる事②
チェーン店のマネージャー、個人オーナーは従業員の永住権などの裏づけを取らざるを得なくなるが、従業員は全員正規で働くことが出来る人間である事が判明。

そのままのサービスを提供できる

周りのサービスが低下した店から客が流れてくる

人財教育に余裕が出来る事により、サービスが強化される

店は益々繁盛する

 

要は、堅実経営をしているオーナーが、益々繁盛する。という事ですね。
ただ、僕の経験上アメリカにおいて、堅実経営をされている方は残念ながら4割くらいじゃないでしょうか。。。

 

僕個人的には、

・価値を提供できていないレストランは淘汰されるべき

・「サービスとは何か?」を多くのレストランオーナーは考えるべき

・情熱を持って経営しているのではなく、金儲けの為”だけ”の経営をしているオーナーは要らない

と思っているので、今回のトランプ政権の荒療治は、うまく行けばアメリカのレストラン業界の活性化に向かうのではないかと期待はしています。
※あくまでも、「うまく行けば」という条件付ではありますが。。。

 

ここワシントンDCは、トランプ大統領のお膝元。
このエリアにおけるレストラン業界への行動が、2018年以降のアメリカのレストラン業界を見る上での指針になる事は必死です。

 

とりあえず、DC界隈のミシュランを取った店と大手チェーンには、捜査のメスが入るんじゃないかなぁ~と思っています。
そういう店へのメッセージが、他のレストランには多大なる影響がありますからね。

 

【ワシントンDCのミシュラン獲得レストラン(2017年)】

ワシントンDCで、去年初めてミシュラン獲得レストランが発表になりました。

☆☆(2つ星)
Inn at Little Washington
Minibar
Pineapple & Pearls

☆(1つ星)
Blue Duck Tavern
The Dabney
Fiola
Kinship
Masseria
Plume
Rose’s Luxury
Sushi Taro
Tail Up Goat

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